01
灰色の空。
立ち並ぶビル。
行き交う車や人の群れ。
あたしの住んでいた街はそんなところだった。
なのに…、
青い空に白い雲。
建物なんか家くらいしかなくて、
他は全部田んぼ畑田んぼ田んぼ田んぼ。
車どころか人もあんまり見かけない。
時々おばあさんとかおじいさんを見かけるけど、
若い人がいない。
今時のギャルなんか論外だ。
あたしが今いるところはそんなところ。
対照的すぎて怖い。
あたしは重い荷物を両手に、更に重いため息をついた。
…ていうかなんでこんなことになったんだっけ。
全てはあの馬鹿親の一言から。
『なんか海外とか行きたい気分☆』その一言であたしはこんなど田舎まで来るはめになったんだ。