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『なんか海外とか行きたい気分☆』
『じゃあ行っちゃおうか!』

『…え?』

『どこがいいかしらー』
『フランスとか料理がおいしいよな』
『いいわね、フランスにしましょう!』
『あの、ちょ…』
『そうと決まったら準備しなきゃ!』
『こっちのものはなにを持っていこうか』

『ストーップ!!』

『あら、夏美ちゃんどうしたの?』
『もしかしてフランスは嫌かい?』
『いや、フランスとかそういう問題じゃなくて…』
『ああ、大丈夫よ。ちゃんと夏美ちゃんの好物の煮干しはいっぱい持ってくから』
『梅干しも持ってこう』
『そうじゃなくて!

…あたし、海外行きたくない』

『え…』
『そんな…なんでだい?』
『なんでとかじゃなくていきなりすぎるよ。
あたし英語喋れないし』
『じゃあ夏美ちゃんは日本にいたいわけね?』
『うん』
『でも女の子一人置いてくのは心配だしなあ』
『そうねえ…』
『別に一人暮らしくらいできるよ』
『あ!おばあちゃんちに行けばいいんじゃないかしら!』
『それは名案だ!』

『え』

『じゃあおばあちゃんには伝えておくからね』
『すごい田舎だけど夏美ならうまくやれるよ』
『ちょ、本当に行くの!?』
『離れ離れは寂しいけど…』
『これは私たち親子にかせられた試練よ!』
『はあ!?』
『じゃ、いってくるわね☆』
『え、ちょっ…待っ』
『お土産楽しみにしててね〜』




「………」




とりあえずは夏休みの間だけ預けられるってことになったんだけど、
そんな短期間であの親たちが帰ってくる可能性は低い。
…思い出したら腹が立ってきた。
あんの馬鹿親…。

道順の書かれた紙を握る手に力が入る。

ていうか紙きれ一枚渡して『この通りに行けば着くから☆』はないでしょ。
せめて送ってくよね。

ふいにお母さんの満面の笑顔が浮かんできた。
すごく殴りたくなった。
人の笑顔を思い出してこんなにイラついたのは初めてだ。

あたしはイライラをぶつけるように紙を丸めてポケットに押し込んだ。




「……よしっ」




来ちゃったものは仕方ない。
楽しもう、この状況を。

いいじゃない、ど田舎。
空気が澄んでていいじゃない。
動物の鳴き声とか新鮮じゃない。
もうどうだっていいじゃない。
あ、なんか楽しくなってきた。
人もいないし、なんだってできそう。




「あはははははは」
「…Ah?」

「……」




いました、人。




そうだ、海外行こう。

(全てはその一言から始まった)



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今回の連載はギャグちっくで頑張ります!
もう一つの連載がしんみりしてるので(^p^)

お付き合いいただけると嬉しいです\(^^)/

御拝読&拍手感謝!
20120913 どんぐり



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