rain




今日は委員会のせいで帰るのが遅くなってしまった。


教室に戻って荷物をまとめている時、ふと窓の方を見ると、しとしとと雨が降っているのが目に入った。












【rain】














誰もいない教室を出ると、靴箱に直行した。


そこにも生徒の姿は見当たらなかった。


雨が強くならないうちに帰るために、バッグから折りたたみ傘を出そうと手を突っ込んだ。


しかし、どんなに探しても傘は見つからない。


そのあと、家に忘れてきたことを思い出した。


そうこうしているうちに、雨は勢いを増していく。


数分もしないうちにどしゃ降りになってしまった。


いくらなんでもびしょ濡れになって帰りたくはないので、仕方なく様子を見ることにした。



それからしばらく待っていたが、一向に雨足が弱まる気配はない。


帰りが遅くなるのも嫌だったので、濡れて帰ろうと昇降口を出ようとした時だった。


「おい、名前!」


『…政宗君!』


ちょうど政宗君が後ろから駆けてきたのだった。







「委員会が終わったって小十郎に聞いたから教室に行ってみたら、お前がいなくて、すげぇ探したんだからな」


『ごめん、てっきり帰ったと思って…』


「委員会で遅くなるの知ってたし、こんな雨も降ってるのにどんぐりを放っといて一人で帰るわけねぇだろ」


『! …あの、ごめん……ありがとう』


本当に彼は優しい。


だから付き合ってるのだが。


「いや、でも間に合って良かった。ここで待ってたってことは、傘持ってねぇってことだろ?」


コクンと頷くと、彼は素早くバッグから傘を取り出して広げた。


「入ってけよ。送ってくから」


『いいの?』


「当たり前だろ? それも彼氏の役目だ」


『ありがとう!』


「Ha…どうってことねぇよ」


そう言って彼は傘に私を入れてくれた。


そして二人で学校をあとにした。




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