rain
「肩、濡れてねぇか?」
さっきから彼はこの調子だ。
心配してくれているのはありがたいが、そんなに頻繁に言わなくてもいいのだが。
『うん。大丈夫だよ』
「そうか。ならいいんだが」
私たちは付き合って間もない。
だから相合傘だってこれが初めてだ。
だけどこれで気づいたことがある。
元々優しい人だとは思っていた。
けど、紳士的でもあるということだ。
ちゃんと道路側を歩いてくれるし、先ほどの会話のように気を遣ってくれる。
でも、彼の方こそ、肩とか濡れてるんじゃないだろうか。
『政宗君も、肩とか濡れてない?』
「No problem.平気だよ」
『でも…』
「Ah……、だったらこうすればいいんじゃねぇか?」
『え?』
彼はそう言うと、左手に持っていた傘を右手に持ち替え、空いた左手で私の右手を握った。
急に彼との距離が近くなったように感じる。
びっくりして彼を見上げると、彼も私を見て微笑んだ。
嬉しいような恥ずかしいような、そんな気持ちが心をくすぐる。
また、雨の日に傘を忘れちゃおうかな…と思った、とある日の帰り道。
Fin.
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莉子様より相互記念でいただきました!
紳士な政宗様とかやばいです(^p^)
ありがとうございました(*´д`*)