指先で送る愛の言葉




只今、携帯の画面とにらめっこ中。




「…いいかな」




画面に浮かぶ文字列。
それは自分の想いそのもので。




「ね、いいかな!?変じゃない!?」
「いいよいいよー」
「大丈夫かな!」
「大丈夫なんじゃなーい?」




隣の席の佐助に携帯の画面を見せて確認する。
…正直当てにならないけど。




「政宗くん、迷惑かな…」
「別に大丈夫だってー」
「告白って普通電話かな?」
「いや、直接じゃない?」
「直接なんて無理だよっ」
「じゃあ電話じゃなーい?」
「声とか聞いたら緊張しすぎて気絶しちゃうよっ」
「…なら手紙とか」
「私字下手だもん!」
「じゃあメールしかないじゃない!!」




佐助は若干呆れ気味…というか呆れるを通り越してイラだちを見せた。
たしかにうじうじ悩んでうざいけども。
…告白ってそういうものだよね。
うじうじ悩んで、相談して、悩んで、
それで勇気を振り絞っていうんだ。




「よし、じゃあ送ります!!」
「はいはーい」

「……」




でも……、




「…送信ボタン、押せない」
「はあ!?」
「だめだ、緊張して手が震える!!」
「なにしてんのさ!」




その最後の勇気がでない。
もしフられたら。
そう考えるだけで足がすくむ。
指の力が入らない。




「やっぱり明日に…」
「それ昨日も言ってたよ」
「うー…」




そのとき、廊下側から政宗くんの声がした。
姿が見えて、笑いながら喋ってて、
もうなにも考えられなくなった。
…私、やっぱり想いを伝えたい。
あの笑顔をもっと近くで見たい。




「…なんだ、やればできるじゃん」
「え…え!?」




画面には《送信しました。》の文字。
無意識に押してたらしい。
…もう後戻りはできない。









どれくらい待っただろう。
1分かもしれない。
10分かもしれない。
30分かもしれない。
それくらい待ち遠しかったし、
返信が来なければいいとも思った。




「あ゛ー!!」
「ちょっ…いい加減にしてよ心臓に悪い!」
「佐助えええ!!心臓もたない!死ぬ!!」
「もー、そんな早く返事くるわけ…」




〜〜♪




「!」
「あ、俺様ちょっとトイレ」




そう言って佐助は席を立った。
…気をきかせてくれたのかもしれない。
携帯の画面にに光る文字。
この音楽に設定したのは一人だけだ。
しかもそれはメールではなくて、




「もっ、もしもし」
『…名前か?』




電話だった。
まさか電話がくるとは思ってもいなかったから、心臓は状況についていけず破裂寸前。




『Ahー…mailみたぜ』
「あ、うん…」




…沈黙。
なにか言わなきゃかなと思っていると、政宗くんが先にそれを破った。




『…sorry』

「!」




あ、終わった。
謝られたら終わりだ。
…フラれた。

たまっていたなにかが一気にこみ上げてきて、涙に変わって落ちた。
本当に自然と涙が溢れた。




『sorry、ladyに言わせちまった』


「…え?」




予想外な言葉の続きに、溢れた涙が止まった。
また胸が高鳴る。

私、今期待してる。
もしかしたらって思っちゃってる。




『一回しか言わねえからちゃんと聞けよ。




…I love you』




また涙が溢れた。
今度は、嬉し泣きだった。




指先で送る愛の言葉

(落ち込んだり喜んだり。
恋って苦しくて、でも嫌じゃないの)



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はい(´-ω-`)
たまには告白ネタを、と(^p^)
突き落としてからの引っ張り上げる!
まさにちやほやの法則の逆転ですね!どやっ←
うまく表現できませんでしたが、共感してくれる方いたら嬉しいです!

御拝読感謝!
20120919 どんぐり





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