端っこのラブレター




『好きです。』




可愛い便箋にピンクのペンでそう書くと、なんだか急に恥ずかしくなった。




「やっぱりだめだぁ…」




書いた紙をくしゃくしゃに丸めて、少し遠くにあるゴミ箱に投げる。

…これで何度目だろう。
もう便箋も残り少ない。

明日こそは君に伝えるんだ。
"好きです"って。


私は気を取り直してもう一度机に向かった。









「ふあぁ…」




結局、手紙には"好きです"としか書いてなくて
そこで止まったまま徹夜もできず眠ってしまった。




「どうしようかな…」
「Good morning、名前!」
「!?
あ、おはよう!」




振り返るとそこには隣の席の政宗くんがいた。
丁度彼のことを考えていたから勝手に気まずい。




「あー…っと、
元気?」
「…Ah?
俺はfainだぜ?」

「あ、ちがくて…えっと、
いい天気だね」
「そうだな。
曇り空の良い天気だ」

「え、…あ、ホントだ」
「Ha!今日はいつも以上に抜けてんな。
大丈夫か?」
「…ノープロブレムです」




だめだ、今日はいつも以上にうまくはなせないや…。
たぶん告白するって気負ってるからなんだろうけど。

でも、楽しそうに笑う政宗くんを見てたら、
もうこのままでもいいんじゃないかなとか思えてきた。
弱気になってるのは自分でもわかってるんだけど、
やっぱり関係を壊したくない。




「はあ…」


ポトッ…


「?なんか落ちたぜ?」
「え?」




政宗くんがその"落ちたもの"を拾った瞬間サッと血の気が引いた。

それは…


私の書いた政宗くん宛のラブレターだったから。




「だっ…待って!」
「What!?」



ビリッ



「「あ」」




不吉な音がして、恐る恐る私の手の中を見ると、
そこには破れた紙の片割れがあって…、




「あー…っと、


ラブレターがヤブレター…




…はは、…なんちゃって

「これ、love letterだったのか?」
「…あ」




墓穴った。




「sorry…」
「や、私が無理に引っ張ったのが悪いから!」
「but…」




ああ、変に誤魔化そうとした結果がこれだよ。
結局政宗くんすごい申し訳なさそうだし。




「どうせ渡す勇気なかったし、また書き直せば大丈夫だよ」
「本当にsorryな」




そう、どうせ渡す勇気なんてなかったんだ。
いいじゃん。
逆に変に悩んでたのがスッキリした。






「授業始めるぞー」


「…」
「あ、教科書忘れた」
「見る?」
「Ahー…Thanks」





今の関係のままでいい。

…なんて、本当に?

怖いだけなんだよ。
ただ、告うのが怖いだけ。

席が変わったらただのクラスメートなんて嫌。
このまま気まずいままなのも、
政宗くんに誤解されたままなのも。




"好きです"



あなたのことが、好きなんです。
他の言葉はいらない。
これだけ伝わればいい。

ノートの端にその四文字を書くと、眠たそうな政宗くんのひじにつんつんと当てた。

散々考えたラブレターは無駄になっちゃったけど、
これでいいんだ。
ノートの端でもなんでも、これが私の気持ちだから。

それを見た政宗くんは少し驚いたようだったけど、
すぐに自分のノートになにかを書いて私の方に寄せてきた。




"俺も"




端っこのラブレター

(やっと届いた私のラブレター)



+--+--+--+--+--+--+--+


夜兎様リクエストです!

天然娘に四苦八苦(^p^)
結局ギャグじゃなくなっちゃいました、すみません(´・ω・`)
でも結構書きやすかったです!


御拝読感謝&リクエスト感謝!
20120701 どんぐり





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