キスだけの関係




『苗字、放課後理科室に来い』




それからだ。
あたしと伊達先生の秘密の関係が始まったのは。










今日もあたしは帰りの会が終わると、理科室に向かった。
最近じゃそれが日課のようになっている。




「政宗先生ー」
「Oh、今日も来たのか」




伊達先生もいつもこの時間になると理科室にいる。
約束とかはしていないけどいつの間にかそうなっていた。




「だって今日政宗先生に会ってないし」
「それはお前が授業さぼったからだろ?」
「だって政宗先生の授業だと思ってなかったし」




そう言いながら伊達先生の座っている前の机に座る。

そして…、唇を重ねた。




「ん…っ」




触れるだけのキスはだんだん激しくなり、舌を絡ませ甘い吐息を漏らさせる。


…でも、ここまで。
すぐに唇は離された。




「…っHa、名前お前勉強大丈夫なのか?」
「…」
「今回のテストやばいだろ」




伊達先生はなにもなかったように普通に話しだした。
しかも説教。
せっかくの雰囲気が台無しだ。




「Hey名前、聞いてんのか?」
「…人の気もしらないで」
「Hum?」




放課後のここにいるときだけ、お互いを名前で呼ぶ。
"苗字"から"名前"に、"伊達先生"から"政宗先生"に。
なんでかはわからないけど自然とそうなっていた。

そして政宗先生とあたしの関係はここまで。
これ以上のことは絶対にしない。
…してこない。
まさにキスだけの関係。
お互い恋心はない、…と思っていたんだけど。




「ねえ政宗先生」
「Ah?なんだ?」
「好きだよ」
「…そんなことよりstudyしろstudy」




あたしがそう言うと、政宗先生はいつも軽くあしらう。
なにも答えてくれない。
"俺もだ"とも、"ごめん"とも。

でも決まって政宗先生はいつも少し悲しそうに笑う。
生徒と教師の恋愛は禁止だ。
見つかったら処分は確実。
だからあたしも付き合いたいとか、そういうことは思わない。
先生と離れたくないし。
政宗先生がどう思ってるかは知らないけど、
ただの"遊び"はいつの間にか"恋"になっていた。
時々つらくなるけど、あたしはこのままでもいいのかもしれない。
どんな形であっても一緒にいられるのなら、それで。




キスだけの関係

(それでも私はいいから)



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若干裏、入った、かな?
とりあえず、政宗理科の先生設定です。
理科室使いたかったので理科の先生(^p^)

番外編として二人のきっかけ書きました!↓
関係の始まり

御拝読感謝!
20120601 どんぐり





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