キスだけの関係
『苗字、放課後理科室に来い』
それからだ。
あたしと伊達先生の秘密の関係が始まったのは。
*
今日もあたしは帰りの会が終わると、理科室に向かった。
最近じゃそれが日課のようになっている。
「政宗先生ー」
「Oh、今日も来たのか」
伊達先生もいつもこの時間になると理科室にいる。
約束とかはしていないけどいつの間にかそうなっていた。
「だって今日政宗先生に会ってないし」
「それはお前が授業さぼったからだろ?」
「だって政宗先生の授業だと思ってなかったし」
そう言いながら伊達先生の座っている前の机に座る。
そして…、唇を重ねた。
「ん…っ」
触れるだけのキスはだんだん激しくなり、舌を絡ませ甘い吐息を漏らさせる。
…でも、ここまで。
すぐに唇は離された。
「…っHa、名前お前勉強大丈夫なのか?」
「…」
「今回のテストやばいだろ」
伊達先生はなにもなかったように普通に話しだした。
しかも説教。
せっかくの雰囲気が台無しだ。
「Hey名前、聞いてんのか?」
「…人の気もしらないで」
「Hum?」
放課後のここにいるときだけ、お互いを名前で呼ぶ。
"苗字"から"名前"に、"伊達先生"から"政宗先生"に。
なんでかはわからないけど自然とそうなっていた。
そして政宗先生とあたしの関係はここまで。
これ以上のことは絶対にしない。
…してこない。
まさにキスだけの関係。
お互い恋心はない、…と思っていたんだけど。
「ねえ政宗先生」
「Ah?なんだ?」
「好きだよ」
「…そんなことよりstudyしろstudy」
あたしがそう言うと、政宗先生はいつも軽くあしらう。
なにも答えてくれない。
"俺もだ"とも、"ごめん"とも。
でも決まって政宗先生はいつも少し悲しそうに笑う。
生徒と教師の恋愛は禁止だ。
見つかったら処分は確実。
だからあたしも付き合いたいとか、そういうことは思わない。
先生と離れたくないし。
政宗先生がどう思ってるかは知らないけど、
ただの"遊び"はいつの間にか"恋"になっていた。
時々つらくなるけど、あたしはこのままでもいいのかもしれない。
どんな形であっても一緒にいられるのなら、それで。
キスだけの関係(それでも私はいいから)
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若干裏、入った、かな?
とりあえず、政宗理科の先生設定です。
理科室使いたかったので理科の先生(^p^)
番外編として二人のきっかけ書きました!↓
関係の始まり御拝読感謝!
20120601 どんぐり