なにが特別?




世界を壊そうとしてる人と付き合うことになった。

今日は1ヶ月記念日。



……あの、
付き合う前と全く変わってないんですけど?










「おーい、晋助」
「………」
「晋助さーん」
「………」
「おいハゲ」
「殺られてぇのか?」
「嘘です、ごめんなさい」




あたしの方を見もせずに、殺気を放っているのがあたしの彼氏。

怖そうに見えるけど、本当は優しい。
優しい…はず、なんだけど。




「ね、今日何の日か知ってる?」
「世界が滅亡する日」
「おい」
「あ?」
「いえ、なんでも」




だめだ、完璧忘れてる。


ていうか、さっきからあたしのこと見向きもせずに読んでいる本。
…気になる。




「なーに読んでるの?」




あたしがそう言ってそっとのぞきこもうとすると、
晋助は読んでいた本を閉じた。

…怪しい…。




「ね、何の本?」
「世界の壊し方」
「著者誰?」
「俺」




お前かよ。




「で、何の用だ」
「え?」
「用がないなら出てけ」





用…っていうわけじゃない。
ただ晋助と話したかったから来ただけ。

それだけじゃ…来ちゃだめなの?





「用は、ない」
「じゃあ出てけ。これから大事な話し合いだ」
「……」
「おい、名前…」
「いつもあたしばっかり仲間はずれ」
「あ?」

「話し合いとかしててもお前には関係ないって言ってすぐ部屋から追い出すし」
「…」
「だったら強くなってやるって、剣術の稽古したら危ないって言ってやらせてくれないし」




あたしはどうしたらいいの?
どうしたら関係なくなくなる?
どうしたら特別になれる?




「だから特別になりたくて…頑張って告白して…彼女になって嬉しくて…なのに…
全然前と変わんないじゃん!!」




言いたいことを全部言ったら急に涙がでてきた。
ため込んでいたから、余計止まらない。

そんなあたしを見てか、晋助は小さく舌打ちをすると
さっき読んでいた本をあたしに投げつけた。




「……!?」
「読め」
「え?」
「自分で読んで考えろ」




晋助はそういうと、ソファに座ってそっぽを向いてしまった。

落ちた本を拾って見ると…
それは女物の着物のカタログだった。




「これ…」

「話し合いに参加させなかったのはお前を巻き込みたくなかったから」
「え?」
「剣術をやめさせたのは怪我させたくなかったから」
「あの…え?」
「前から変わらないのは、前から俺がお前を特別扱いしてたからだ」
「意味わかんな…」
「わかれよ」




晋助はそう言うと、あたしの方に近づいてきた。

前髪から覗く目は少し悲しそうで…




「お前は、ただ俺らの仲間になりたかったから俺に告白したのか?」
「ち…違う!」
「…ならいい」
「…うん」
「選べ」
「はい?」
「1ヶ月記念。選べ。なんでもいい」




さっき投げつけた本を指差して言った。

…記念日、覚えてたんだ。




「ううん、いらない」
「あ?俺がどれだけ悩んだと…」
「もうたくさんもらったから!」




そう言って笑うと、晋助は意味がわからないとでも言うように顔を歪ませた。

ずっと晋助の気持ちが分からなくて不安だった。

でも、あたしのために柄にもなくプレゼントとか考えてくれて、
晋助の考えていたことも教えてくれた。

それが聞けただけで、最高の記念日になったよ。




「晋助、大好きだよ!」




晋助は一瞬驚いたようだったけど、すぐにまんざらでもないように笑って
そっとあたしの唇に口づけした。




なにが特別?

(過保護なくらいの特別扱い)



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高杉口調わっかんない!
とりあえず子安さんボイスで頑張ってイメージしました。
誰か助けてください。
まず名前の漢字合ってるかすらわかりません。

御拝読感謝!
20111112 どんぐり





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