15 夏休み:イケメンボス

※原作ではキャバッローネの拠点がイタリアのどこら辺とか言及されてなかった筈なので(覚えている範囲で)アジトの位置とか色々捏造してます
他イタリアに拠点がありそうなマフィアやチームなども今後場所捏造します
もし明言されてて私の勉強不足でしたら申し訳ありません





山本武一生許さねぇ…。

流暢な英語が流れる機内。
初めて座るファーストクラスの広々とした席。
横に座るのは爽やか笑顔のイケメンディーノさん。

状況としては文句の付け所がないくらい贅沢させてもらっているが、内心憎しみと怒りが半分くらい渦巻いていた。
何故って?この場にいるメンツをまず教えよう。

まず私。ディーノさん。そしてディーノさんの部下三人。
以上。

え?私をいきなり「イタリアいかね?」と明日一緒にマッ○いかね?くらいの気軽さで誘ってきて、秒で確定事項にした“山本武”は何処にいるかって?

並盛町だよ。

順を追って説明しよう。


昨日イタリアに行こーぜと無理矢理確定事項にされ、早朝ディーノさん部下さんと、リボーンくんが家の親を見事に丸め込み荷物を勝手に準備され、何故かパスポートも用意されリムジンにのせられ空港へと連れていかれた。
しかしこの時、山本武がその場に一緒にいないことに私は疑問に思っていなかった。
何しろ無駄に朝が早いのと、怒涛の丸め込み、準備、出発の流れで、そんなこと考えている暇すらなかったのだ。
分かるだろ?

そして気持ちが落ち着いてきた頃といえば、飛行機に無事搭乗して一息着いた頃だ。

「あれ?」
「ん?どうした?」
「山本くんは?」
「あっ」「「「あっ」」」

ディーノさんにあろうことか部下さんたちまで、言うの忘れてたって顔にかいてあるもんだから、そこでもう全てを察した。
山本武が何故土壇場で、しかも人を誘っといた張本人の癖にこの場にいない理由だけ問いただしたところ「急遽野球部の練習試合決まってよ!しかも、アメリカの学校のチームとだぜ?!流石にこれを逃しちゃダメだからさ、わりぃけどディーノさん達とのイタリア観光、俺の分まで楽しんできてくれよな!」らしい。

「バカやろぉ…」
「本当にすまねぇ」
「ディーノさんは一ミリも悪くないですけど?!」
「名前が凄く楽しめるように俺頑張るから」
「うっ」

言いたいことが山ほどあるが(主に山本くんに)あまりの顔のよさと性格の良さに全て許してしまいそうになった。いや、許すも何もディーノさんは本当に何も悪くないんだけれど。

「ディーノさん、私は吹っ切れます。山本くんが血反吐はくくらい行けばよかったって思うほど楽しもうと思います」
「お、おう!まかせとけ!(血反吐はくくらい?)」
「「「(血反吐はくくらい?)」」」
そんなこんなで、イタリア到着まで睡眠や食事をとって、気づけば目的地へ。


「さぁ、ついたぜ!三泊四日ナポリ観光だ!」
「おー!」
「とりあえず、ホテルにチェックインしてからだな」
「質問です先生」
「なんだ?」
「えっと、もしや一人部屋…ですかね、いや、多分そうなんですよね」
「いや、ツインだぜ?」
「?!誰…と」
「俺と」
「えっ」

イケメンとツイン?!!

「へへ、流石に嘘だよ。俺の部下にはちゃんと女もいるからな。後で合流するけど、ソニアって名前のやつと一緒に泊まってもらう。勝手も分からないことも沢山あるだろうし、イタリアは日本より物騒だからな」
「とっても安心しました」

一人だと心もとないし、かといってまさかディーノさんと同じ部屋で寝泊まりするなんて心臓がもたないし、いや、ちょっと残念な気もするけど。とにかく安心した。

「…俺と一緒の部屋が良かったか?」
「いや!?あ、いや別に嫌とかじゃなくてその、あの、こんな顔の良い方と寝泊まりするなんて心臓がもたないし血圧も上がって病院送りになるだろうし!いや、あの良い意味で!!」
「っんぶ。ははは、本当に面白いな!やっぱり一緒の部屋の方が面白かったかもな」
「んぐ(このイケメン絶対無自覚でこういうこといってるヤバい)」

正直薬研くんあたりとどっこいどっこいだけど、あっちは完全に自覚をもってああいうことをして来るから、こっちの若干天然はいっているほうが被弾率高い気がする。

そんなこんなで、ホテルへいって、ごはんを食べて観光スポット回って、ディーノさんはくそイケメンで、部下さんたちもめちゃめちゃ優しくて、てゆうか、移動がリムジンで凄く快適で、とんでもないスピードで一日が終わってしまった。
え、こんなに楽しくていいの?
やっぱり山本くんがいなくて良かったかもしれない。凄く楽しく平和に穏やかに、時間がすぎていく。はー、幸せだなー。

ホテルに戻ってから例の部屋を一緒にしてくれるソニアさんと合流した。健康的な日焼けにさらさらの茶髪で凄い美人だった。一目であ、好き。ってなった。
それにソニアさん仕事だとしてもめちゃめちゃ優しくしてくれて、てゆうか日本語で対応してくれて、大好き。

二人でおしゃべりをして、楽しく過ごしていたらもう寝る時間に。お水もいつのまにかなくなっていて、お水ってここのホテルは買えますか?と聞くと一緒に買いにいこうかと着いてきてくれることに。自販とかじゃなくてバーとかそとのスーパーに買いにいかなきゃ行けないらしい。夜のイタリアは危ないのでちょっと高いけどバーの方で買おうということになり、お金も、色々と不手際があったからこちらで出させてくれとの事だった。
私はお言葉に甘えまくる人間なので喜んで買ってもらうことにする。

談笑しながら廊下を歩いてると向かいから来ていた人とぶつかってしまい、手にもってたスマホを落としてしまった。
反射的にすいませんと謝って、それを拾おうとすると、頭上から「主さん…?!」と声が。
なんだなんだ、アル・ジ・サンって誰。ふっと顔を上げると、凄い驚いた表情の青年が一人。しかも私と同い年くらいじゃない?等と思ってたら、ソニアさんが勢い良く前に割り込んで、いきなり銃を取り出し乱射し始めた。なんで?!!

あっあっあっ、何て言ってるあいだに二人のあいだでは怒涛の戦闘が繰り広げられている(と思う)
早すぎて全く見えない。
なんか青年手に棒みたいなの持ってない?気のせい?
まじでなんで人とぶつかっただけで戦いしてるの?!イタリアってそこまで物騒な国なの?!
※違います

何も分からずぼけーっとしてたら、いつのまにかソニアさんは倒れていて、少年が深い息を吐いて佇んでいた。よくよくみると棒だと思ってたそれは刀で、それを振り払ってから鞘に納めていた。
まって、あれ、血では…?
ソニアさんが心配になりまた目を向けようとしたら、彼がそれをさせなかった。腰を抜かしてる私に覆い被さるように膝まずき「主さん?、本当に…?夢じゃない?」といいながら断りもなしに人の顔や頭をペタペタさわってくる。
ちょっと指先がつめたい。
あの、まじで怖い。え、私どうなるの。ソニアさん、倒れちゃったよ。生きてるかも分からない、確認できない。しかも目の前には元凶の青年。
本当にどうすれば良いの。ディーノさんに連絡しなきゃ。でも、スマホ見ないで彼の名前を探すのは流石に無理。それに、連絡したところで目の前の青年がその行動をとったことでどう動くかもわかんない。

どうすることもできなくて、目が次第に潤んでいく。どうしよう。泣きたいわけじゃないんだ、勝手に目に水がたまるんだ、生理現象なんだ。

流石に向こうもそれには気づくわけで。

「泣いてるの?」
「…」
「どうしたの?もしかして怖かった?」

怖いも怖い。しかしそれをバカ正直に伝えてしまったらどんなことをされるかわかんない。

「ねぇ、僕のこと、わかる…?」

ねぇ、これ死んだかな?死んだな。こんな質問どう答えるのが正解なのさ。しらないよ、知るわけないじゃん!誰よ?!って叫びたいけど、それをいったら絶対首が飛ぶ。

「なんてね、まだ記憶戻ってないんだもんね」

なに記憶って。私記憶喪失なんて一度もなったことないですけど?

「さて、どうしたらいいかな…。僕の今いる場所は…いや、あそこは流石にダメだよなぁ。というか僕が主にあそこにいてもらいたくないし。うーん」


山本武へ

波乱のイタリア旅行です。
お前まじで許さないからな。

私より





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