ブン太に腹を鷲掴みされる
※公式で名前公表されてない人物に勝手に名前つけてます、捏造です
「いやお前、食い過ぎだろぃ」
「…はぁ?それブン太にだけは言われたくないんですけど?」
三が日である。
幼馴染みのブン太と弟のコウ太、ジン太と丸井家でテレビを見ながらお菓子やみかんや余っている料理等々ダラダラと食べている。
因みに家の両親とブン太の両親はリビングの方で同じようにテレビを見て雑談をして団欒中だ。
あ、私たちがいる場所は座敷。
丸井家と家はかなり仲の良いご近所で、お正月もそうだが、クリスマスやイベント事以外にも頻繁に家族同士で交流をしている。
親同士がそうなので、子供の私達も強制的に交流するわけで。
幼馴染みよりかはもはや姉弟みたいな心持ちだったりする。ブン太とは同い年だけど、絶対むこうが弟。…まぁ、誕生日はむこうが四月で私が八月なんだけど。
そんな話はおいといて、毎年恒例この四人で正月を過ごしているのだが、この男自分の事は棚に上げておいて食べすぎだなんて良く言えたものだ。
「兄ちゃんと姉ちゃんどっちも食べまくってるじゃん」何て声は聞こえなかったことにする。
違うんだ、食べ物が無限にわきでる丸井家が悪い。それに隣の男が常に食べてるから、自分も常に食べてる感じがしないのだ。わかるだろ。
「とにかく、正月だからいくら食べても許されるもん」
「…そりゃそうだな」
「お母さんたちも食べろ食べろっていってる」
「俺オレンジジュースおかわりもってくる」
「コウ太兄ちゃん、俺も!あとゲーム!!」
下二人がバタバタとリビングの方へ向かっていってしまった。多分ゲームっていってたから暫く戻ってこないかもしれない。
お茶はまだペットのでかいやつがあるから大丈夫か。
「なぁ」
「ん?」
ブン太がみかんを剥きながら話しかけてくる。
「高校上がったら何するのかもう決めてんの?」
「まさか、そんな事そのとき考えればいいんだよ」
「バドは?続けんの」
「んー、有力候補だけど、バイトとかもしたいよね」
「ふーん」
「ブン太はそのまんまテニスでしょ?」
「もち」
「ですよね」
会話が一度途切れた時点で隣に座るやつの腹部を注視する。大きめパーカーだから分からないが、絶対丸々したお腹がそこにあるでしょ。そう思いながら、人差し指でツン。
悪戯された本人は少しだけ反応してからジロリとこちらを見て「なんだよ」と声を漏らす。
「やっぱり食べすぎてますね、お兄さん」
「…俺は常に動いてるからこんなの誤差だよ」
「ふーーーん」
「むぅ」
ジト目でこちらじっと見てくるので負けじと見つめ返すと、案の定奴の手も私のお腹めがけ伸びる。しかし、やはり強豪テニス部の一員。その瞬発力に負けてしまって私のお腹は鷲掴みにされた。
「うっ!ちょ」
私は指でツンレベルなのに、こいつ鷲掴みは違うだろ。
「お前、俺のこと言えないだろこれは」
「流石にもう揉んでるじゃん。おい、セクハラだぞ」
「はいはい」
「こら揉むな」
そんなことお構い無く、こいつ腹を触り続けてくる。いや、姉弟みたいに思ってても、流石にずっとやられるのは恥ずかしくなってくる。しかもちょっとくすぐったい。
「も、もうやめろ!」
「あ、」
体を翻し。距離をとって倒れこむ。お腹は死守しようと手でガードする。
総括するとお腹を抱え横向きに寝ている体勢だ。
まぁ、そんなことお構いなしにやつは四つん這いになり詰め寄ってくる。
「おーい、なんだよ」
「流石にセクハラがすぎるぞ」
「先に触ってきたのお前だろ」
「レベルが違うでしょ!」
「……照れた?」
「…あれだけ揉まれて恥ずかしい女子も男子もこの世にいないと思いますけど」
「ふーん」
ニヤニヤと上から見下ろしてくる。実に腹立たしい。
「なぁ」
「何」
「もっと触ったら、もっと照れる?」
「…は?」
「俺のこともっと意識してほしいんだけど」
「……なに?」
目の前の幼馴染みは、なんだか今まで見たことない、こう、何て言えばいいのだろうか、色気のある表情?をしている。
なんだ?これは、夢か?初夢か?
なぁ、好きなんだけど、とさらっと告白してくるこいつは、本当に幼馴染みか?
とにかく、夢なら早く覚めるか、もしこれが億が一に本当に起こってることなら、コウ太、ジン太、早く戻ってきて。
20240107
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