14 夏休み:並盛トリオ

夏は暑い。自然の摂理である。
それ故、冷たい食べ物や飲み物がはかどってしまうのも当然である。
一日二つペースでアイスを食べていたらさすがにストックがなくなってしまった。
やつら(鯰尾骨喰コンビ)から遊ぼうの連絡は何故か全くなく、平和な夏休みを過ごしていた。以前のように周囲を警戒しながら外を歩くことが少しずつ減ってきてとても嬉しい。ウキウキすぎてスキップなんてしてしまう。

このとき私は上記の通り凄まじく浮かれていた。もう一つの危険分子を忘れるくらいには。

コンビニまでもう少しだわ。スキップに加え鼻唄まで歌おうとしたときだった。

「苗字〜!」

と底抜けに明るい私を呼ぶ声が聞こえた。
その聞き覚えのありすぎる声に全身の筋肉は硬直し、その場で転ぶ始末。
今の季節は夏。必然的に薄着なわけでして、手のひらもそうだが肘、膝。上腕全部擦り傷ができました。

「いっっったあ!!」
そう叫び声をあげると、その問題の人物は「お、おい、大丈夫か?!」と心配そうにかけてくる。
顔をあげるとそこにいたのは、天敵山本武である。

「は、はは、大丈夫じゃないです、はい」
「あんなに元気にスキップしてたのに、俺が後ろからいきなり声かけちまったからだよな、わりぃ」
「(うん、そうだよ)」
なんて、口が裂けても言えないその言葉はどうにか飲み込む。
というか、そんなことを言えるほど軽傷じゃない。擦り傷はあの二人のせいで最近負うことが増えていたものの、流石にこの量を一気に負うのは辛いものがある。
これも全部山本武のせいだクソ。

「とりあえずツナんち近いし、俺が苗字のこと運ぶから手当てしよーぜ」

と、陽キャ特有の行動力の早さで口を挟むことも許されぬままおんぶされ、そのまま沢田くんちへ拉致された。


…………

山本君にあった時点で覚悟はしていたが、予想通り沢田くんちには、沢田くんも獄寺くんもいた。
はいはい、私はどうせ奴らから逃げられてもこの三人が待ち受けてますよ。
心のなかでもリアルでもひんひん泣いた。泣かずにはいられないだろ。

そんな状態の私を沢田くんのお母さんが、優しく声をかけながら傷の消毒と手当てをしてくれた。
聖母かと思った。
以前も勉強会に無理矢理つれてこられたときに会ったことあるが、とても優しいお母さんだと改めて思った。うちのお母さんとは大違いである。
少し休んでいきなさいと、擦り傷なんかに凄く心配してくれるし、沢田くんちの子になりたいと一瞬思った程だか、沢田くんちだしすぐにその考えを改めましたよね。



「けっ、十代目のお母様にまでこんな手間かけさせやがって、本当にどんくせぇイラつく野郎だぜ」
「大変申し訳ありません。私はゴミ野郎です」
「苗字さん全然そんなことないよ!?獄寺君も言いすぎだよ!」
「悪いのは急に声かけた俺だしな」

手当てをしてもらったあとリビングで一人でいるのもあれなので、三人と一緒に沢田くんの部屋へお邪魔させてもらった。

部屋に着いた瞬間獄寺さんに罵倒され、勢いのまま正座し、頭も下げようとしたが沢田くんにとめられた。本当に山本くんがいちばん悪いんで獄寺さんはこの男こそ罵倒して欲しい。

「あの、落ち着くまでここで休んでって大丈夫だから、ゆっくりしてって」
「沢田くんって前から思ってたけど、凄い優しいよね、というか、気遣い屋?」
「えっ、いやそんなこと」
「ったりめーだろーが!!十代目ほど心が広くて器のデケー人はこの世にいねぇんだよ!!なんでそんなことも分かってねぇんだテメェは」
「無知ですみません、そうですよね、沢田くんほど優しい人ってこの世にいないですよね」
「テメーが十代目の全てを理解したように悟るんじゃねぇ!!」
「理解してしまってすいません」
「苗字さん!獄寺くんも!!」
「はは!コントみてーだな!」

ぎゃーぎゃー騒いでいたら沢田くんのお母さんがきてお茶とお菓子をおいてってくれた。「皆仲良しさんね、うふふ」なんて言っていたが、どこをどうみたら仲良しに見えたのだろうか。

「そういえばリボーン君とやらは今日はいないの?」
「いるぞ」「ふが」

つめたい麦茶に口をつけ、何気ない疑問を口にした瞬間、何処からともなく沢田くんの頭の上に座っていた。
いくら小さいとはいえ、さすがに頭に赤ちゃんのせるのは重そうだなぁなんて考えてたら、「ついにボンゴレファミリーに入る気になったのか?」なんて聞かれたが即座に首を振った。

「私はなんとかごっこに付き合う気はないし、これ以上自分の時間とられるのやだしね。こうやってたまーーーーにちょっとだけダベったりするくらいならいいけどね」
「俺たちボンゴレファミリーはいつでもウェルカムだからな、入りたいときはいつでも声かけてくれよな」
「へいへい」
「んあー!いい加減降りろよリボーン!」

沢田くんが暴れた瞬間床に押し潰されてた。かわいそう。

「そんなことより沢田くん、さっきスマ○ラが見えてしまったんだけど、やっていい?」
「えっ、あ、うん!勿論!苗字さんもゲームするんだね、皆で対戦しよ!」
「俺もやるぜー!獄寺もやるだろ?」
「あ?あたりめーだろ!!この女から十代目を守らなきゃいけねーからな」

そんなこんなで怪我のことも忘れて私たちはスマ○ラに勤しみ、意外にも沢田くんが一番強かった。獄寺さんは案の定一番弱かった。日頃ぼろくそいわれているから沢山やってやったぜ。
やっぱスマ○ラは友達とやるのが一番楽しいよね。あんなにギスギスしている獄寺さんから罵倒は飛んでくるものの、殺気は感じられず、沢田くんと山本くんもいつもより楽しそうだった。私もだけど。
某、任から始まる会社、また人を笑顔にしてしまってるぞ。



夕方になって家に帰るとなったとき、山本くんは家が同じ方向というのもあるけど、先程の怪我もあって途中まで送ってくれることになった。

「今日は楽しかったな!また皆で遊ぼーぜ」
「そうだね、一年に一回くらいならいいよ」
「はは!次は来年じゃねーか!」
「それくらいが丁度いいですね」
「苗字ってほんとにおもしれーな」

会話が一瞬途切れるも、また山本くんが口を開く。

「そういえば苗字、イタリア行ってみたいっていってたよな?」
「え?うん」

多分イタリアは誰しもが一度は行ってみたいとこだと思うけど。

「一緒にイタリアいかね?」
「は?」
「ディーノさんとも知り合いだよな?ディーノさんの観光案内付きで」
「行きます」
「え?!本当か!んじゃディーノさんにすぐ連絡するな!!」
「え!?あ、ちょ」

人間反射的に返事をしてはいけないとこのとき深く理解した。
ディーノさんにつられて反射的に行くなんていってしまったけど、まって、イタリアだよ?パスポートねぇよ!いつ?何泊?てゆうか山本くんも一緒?!親の許可、えと、海外?!

キャパオーバーになっていたら「ディーノさんにちゃんと連絡しといたぜ!明日迎えにいくって!」ととんでもないことを抜かしてきた。馬鹿!!!

え?明日から私、イタリアいくの?


20231114

スマブラ使用キャラの妄想

夢主:ヨッシー、村人等
つな:ネス、デデデ等(一通りは使えそう)等身低いキャラ好きそう
獄寺:ウルフ、ガノンドルフ
山本:アイク、ファルコ等

※イタリア行く話、原作の獄寺くんが忠誠心を試される話で、最終的に山本に飛行機のチケット渡す回のイメージでかいてますが、原作の時系列とか流れとか全然違うのでそういうイメージで見ていただけると嬉しいです


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