1、始まりの虎徹

モテ期という言葉がある。人生には三度異性から異常に好意を持たれる時期が誰しもくるらしい。私はまだ十四歳でそんなものは過去に来ていた記憶はない。
そもそも子供の頃こられても将来に結婚できなければそれは意味ない。金持ちのイケメンと結婚して豊かで幸せな老後を送るの!とかそういうことではないが、一人で悲しみにうちひしがれながら死んでいくのは嫌なので、それなりの人とそれなりの年に結婚してそれなりの人生を歩みたい。
なので貴重なモテ期は子供の頃こられるよりも、大人の時に来て老後のために有効活用したいとそういうわけだ。

さて、私の通う並盛中は校歌にもあるように、大なく小なく並の学校である。である?全然そんなことない。クラスメイトはパン一になって走り回るわ、ダイナマイトであちこち爆発させるわ、変な外国人が頻繁にくるわでとても並どころでなくなっている。
なんなの?なんでこんな平凡な学校に通ってたはずなのに毎日命の危機にひんしているの?本当にわけわからない。

今日も今日とて教室が爆発して若干髪が焦げてチリチリになった。最悪だ。
げほげほと咳き込みながら帰路についているとなにやら前方から男子学生が話ながら歩いてくる。どっちか一方によってほしいなぁなんて思いつつ電信柱にぶつかるように進む。正確にはぶつかる手前で止まり、通りすぎるのを待ってから行こうとしている。
さあ、早くあるいてくれと電柱の前で待機する。思い通りに彼らが通りすぎると思っていたが、彼らは通りすぎなかった。寧ろ私と目があった瞬間歩みを止め、世間一般的に言う壁ドンをかましてきた。
「主!!」
という謎の掛け声と共に。

こわい。え、なにこれ。新手の詐欺?それとも罰ゲーム的なやつに巻き込まれた?
目の前の男子高校生?中学生?はよくよく見るととても美形だ。はえー、なんだこのドラマみたいなのは。てゆうか髪色が不良だ。何紫って。怖い。大阪のおばちゃんじゃないか。しかも貞子みたいに長い。あれ?これは男と思っていたけど女の子説ある。
紫長髪男子に肩を捕まれ、ぐわんぐわんゆらされる。初対面で面識もない相手にここまでできるこいつは完全に不良だろう。
ほかの二人もよく見るとお顔が整っていて泣きそうな表情をしているが、メッシュ入ってたり、髪がオレンジだったりでとても怖い。
現代日本の不良化進みすぎじゃない?

「んもう!聞いているのか主!」
「ひえ」
「分からないのか、俺たちが!贋作はともかく」
「おい」
「真作の、初期刀の俺ですら忘れてしまったのか!?」
「うえ!?」

どういうことだろう。本当に新手の詐欺かもしれない。

「あの、その、大変申し訳ないんですけど、まじで、人違いでは…?」
「間違うものか!君を、何百年と、ずっと待ち続けて…それなのに……それなのに…。そうか、君はまだ思い出せていないのか?」
「確かに。最初は俺も長曽根兄ちゃんも分かってなかったし、きっかけがあれば思い出すんじゃないかな?」
「きっかけか…」
「とりあえず頭につよい衝撃を与えるのが定石だろう」

紫のひとは他の二人と違って物騒すぎませんかね!?見た目の細身な体とは裏腹に強い力で頭を鷲巣かみにされ、今にも後ろの壁にぶつけられそう。

「ちょっと!後ろの二人!!見てないで助けてくださいお願いします!死んでしまいます!!!」
「いやー、いっつもこんな感じだったからなぁ。力加減は忘れてないとおもうから大丈夫だぞ」
「そうそう。俺も主には早く思い出してほしいし」
「何訳のわかんないこといってんですか、どつきますよ!!!!!!」

人が目の前で暴行されそうになっているというのに、何呑気にしてんだこの二人。頭おかしいんじゃないの?!そういやこの二人も不良疑惑があったんだから助けを求めたところで解決なんかしなかった。
ギリギリ潰されそうな頭ではろくなことが考えられない。いや、もともとそこまで頭の出来が良い訳ではないから結局何も考えられないんだろうけど。

終わったとすべてを諦めたとき、ズカンと何かが鳴り頭の痛みがなくなった。あれ、掴んでいた手が離れている。

「何者だ!」
「女に手をあげるなんて男のすることじゃねぇぞ」

何かがふわりと私の前に降り立ち、三人と対峙した。あれこの子見たことある。

「そのおしゃぶりに、その格好。アルコバレーノが何故主に…」
「蜂須賀ここは一旦引き上げた方がいい」
「贋作は黙っていろ!」
「聞け!アルコバレーノが関わっているとなると裏にボンゴレが関わってるのは確実。下手にここで騒ぎを起こせば今後主に関してのこともややこしくなる」
「蜂須賀兄ちゃん、ここは長曽根兄ちゃんの言うとおりにした方が」
「……っくそ。今日のところは引いておく。この次は容赦しない」

三人組は目の前の赤ん坊にガン垂れて殺気だっている。恐すぎ。

「主、また来る」

そして私には爽やかな良い笑顔を向けて去っていった。瞬時にそんなに感情を切り替えられるの恐すぎ。

「ふー、ちゃおっす。大丈夫だったか?」
「あ、はい、こんちゃす。助けてくれてありがとうございます」
「お礼はデートでいいぞ」
「へ?」
「俺はリボーン。お前と同じクラスの沢田綱吉ってやつの家庭教師だ。よろしくな苗字名前」
「え、は?え…」
「じゃあな」
「あ、はい」

なにこれ。



…………


あの短時間で何が起きたのか全くわからず、いつもうちに勝手に上がり込んでお菓子やお茶を無断で食べていく幼馴染みに相談してみても「とうとう現実と妄想の区別もつかなくなってしまったなんて可愛そうに」と冷ややかな目で見られた。こいつ少し私より頭や顔が良いからって調子に乗りすぎだ。
優雅に足を組ながら我が物顔で…。今日はこいつしか来てないけど、たまにこいつの兄や弟も来ることがある。その二人はまだ、まだ?性格は良い方だと思う……私の性格好い人の基準が下がっていなければの話だが。

むかついたから背中をちょっとつねったら倍以上の力でほっぺを鷲掴みにしおもいきり引っ張られた。くそー、どうやったらこの幼馴染みに勝つことができるのだろう。


…………


次の日また変なやつらに絡まれないだろうかとビクビクしながら学校にいくと、朝一なのにも関わらず教室で変な勧誘をうけた。

「ちゃおっす!昨日ぶりだな。早速だが桜田卯月、俺達のファミリーに入らねぇか?」
「え?は?無理です」

キーンコーンカーン

無慈悲になる鐘と沢田くんの顔といったら妙にマッチングしていた。その沢田くんのバックにいた獄寺さんが昨日の三人並に殺気出しまくりで怖かった。というかなんで昨日助けてくれた赤ん坊がここにいるのだろう、なんで赤ん坊自立してスーツ着て喋れてるんだろう、怖い。

やれやれなんてため息をつきつつ、席で荷物を片していると、先生と何やら見慣れない生徒が来た。まさかまた転校生?また?最近多すぎじゃない?そしてよくみたら顔が良い。このクラスの顔面偏差値がどんどん上がっていく。
幼馴染みに「貴方の顔なんてそこらへんに生えている雑草と何らかわりないんですから、気にするだけ無駄です」なんていわれたっけ。もっと惨めで小さい雑草になろうとしてるよ。

あ、目があった。え、ウインクされた。え?

「自己紹介してくれ」
「はい!鯰尾藤四郎です!よろしくお願いします」
「席はあそこな」
「はぁい」

いいなぁ、窓際の席だ。私なんか成績が悪いからと比較的前の席にされた。教師がそんな贔屓をして許されるのか。

「おい、そっちはお前の席じゃ」
「探しました、こんなとこにいたなんて」


教室がざわついて見れば例の転校生が目の前にいた。なんで!?それにこの何て言えば良いのだろう。慈愛に満ちた表情?といえばいいのだろうか。すごく優しい顔でこちらを見ている。

「もう、離してなんかやりませんからね!」
「ふぁ?!」

勢いよくぎゅっと抱き締められた
教室の中は阿鼻叫喚。皆が驚きすぎて逆に私の興奮は覚めていった。
イケメンすごいめっちゃいい匂いする。あと意外と筋肉質だ。
なんなんだろう最近の一連の出来事。怖すぎる。



20190316
20210922(加筆修正)



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