ねぇ、俺が今一番したいことってなんだと思う?…ヒ・ミ・ツ!
 え、知りたい?それはね…、守と買い物に行きたいんだぁ。なぁんて、言っちゃった!恥ずかしい!
 ねぇ、今何考えてた?当ててみようか。ズバリそれは…俺のことでしょ?ふふ、当たったかな?…え?違うって?まぁ少なくとも俺は今守のことを考えていたんだけどね。
 恋人欲しいなぁ…、恋人がいたらきっと毎日を楽しく過ごせると俺は思うんだけど守はどう思う?何処かに守っていう名前の恋人落ちてないかなー。
 さっきのメールだけど勘違いしないでね!べっ、別に俺は守に俺の恋人になって欲しいとかそんなこと思って言ったんじゃないんだからね!!
 俺は守とはもう友人でいられないのかもしれない…。だって俺の守への想いが“友人”の範囲を越えてしまいそうだから。
 守は次の休日に予定入っていたりするのかい?ふふ、やっぱり入ってるに決まってるよね。何を隠そう実は俺も既に予定が入っていたりするんだ。…あ、っていうか俺に入ってるなら守にも予定があって当然か。二人で過ごすってのが“俺達”の予定だもんね。




『そうだな、考えておくよ』




 月が綺麗だね。…あ、そっちの意味じゃないからね!




「なぁ鬼道。月が綺麗って一体どういうことなんだ?今ってまだ昼間だよな?」

「確か夏目漱石が愛してるっていう言葉を月が綺麗だという言葉に置き換えて表現していたが…、それがどうかしたのか?」




 俺、この間緑川達と美術館へ行って来たんだけど何ていうかその…物凄いオーラみたいなのを感じたよ。このモナリザの微笑なんて凄くないかい?




“自分の微笑画像添付”




 あ、ごめんよ。うっかり間違えちゃってたみたいだ。本当はこっち、こっちの画像だったよ。




“自分の微笑画像添付”




 どうしよう。俺、目が見えなくなるかもしれない…。さっき本を読んでたら“恋は盲目”って書いてあったんだ。でもさ、逆に考えたら俺の目が見えているうちは守への想いが足りてないってことになるのかな。
 さて、心理テストでもしようか。俺が質問を出すから守は俺の言うとおりのことを思い浮かべてみてね。…じゃあいくよ、まず俺の名前を思い浮かべて下さい。―――思い浮かべましたか?今、守が思い浮かべた人物こそ守が深層心理的に好きな人なのです。
 日本語は感情を表す言葉が多いっていうけど俺はそんなのは嘘だと思うんだ。…何故だか知りたいかい?それはね、守への想いを形容する言葉が見つからないからだよ。たった一つを除いてね。
 男の恋は“名前をつけて保存”女の恋は“上書き保存”っていう例えを守は知っているかい?仮にもしもこれが本当なら「アイツのことなんか俺が忘れさせてやるよ」って口説き文句は的を射ていると思わない?え、何が言いたいのかよく分からないって?――豪炎寺くんのことなんか俺が忘れさせてあげるよ。
 俺達、もうメールをするのをやめようか。守とメールをしていると守を凄く身近に感じてしまうんだ。だけど、どう手を伸ばしてみても俺の手は守には届かない。楽しいぶんだけ、苦しいよ。
 俺にとって守は水と同じだね。ううん、特に理由はないよ。あ、そうそう。全然関係ないんだけど一つ話をしてもいいかい?人間は食べ物がなくても水があれば二週間は生きられるんだって。ちなみに水がないと数日で死んでしまうらしいよ。全然関係ないんだけどさ。




『水のようにありふれたものって意味じゃなくてよかったよ』




 無人島に何か一つだけ持っていけるとしたら…って、誰でも一度は考えたことあるよね。え、俺だったら?守だよ…と、でも言うと思ったかい?無理やり守を連れていくなんてこと俺がするわけないじゃないか。いや、正しくは“そうする必要がない”かな。だって守と俺は心で繋がっているから。




『心で繋がっているからこそ、俺には分かるよ。ヒロトは俺を連れていくさ。だってヒロトにとって俺は水なんだろ』




 言うべきでない真実と言ったほうが良い嘘。人は自分の都合で時には真実をねじ曲げる。また人によってどう受け取るかも違うと思う。だけど俺はあえて言わせてもらうよ。俺は守のことが好きなんだ。付き合って欲しい。




『有難う。相変わらずヒロトの言っている言葉の意味がよく理解出来てないままで本当に申し訳ないんだけど俺は何処へ付き合えばいいんだ?』


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