■ブチャラティでギャグ+甘

※謎時空、ブチャラティたちが天然。細かいことは気にしない人向け

「ん、なんか顔赤いな。熱でもあるのか?」
 鈍感で、
「なんだ、よく食べるな。そんなに食べたら太るぞ」
 少しデリカシーがなくて、
「下がってろ――おまえを死なすわけにはいかない」
 だけど、最高にカッコいい。
 それが私の恋人、ブローノ・ブチャラティという男だ。
 鈍感でデリカシーがないところも、どこか素敵に感じられるくらい、彼は魅力的な人だ。だけど、あまりに彼の天然が過ぎて、それが悩みの種になることもしばしばある。
 そう。今まさに、私は彼のことで頭を抱えていた。
 それは――
 

「ナマエ、来たぞ」
 なんだか寂しいから、仕事が終わったら近くの公園に来て欲しい。あなたに会いたい。あなたと話がしたい。
 私はブチャラティに、そんな身勝手な我儘を言ってしまった。だから本来は、彼が来てくれただけでも感謝すべきなのだろう。――だけど。
「……ブチャラティ」
 私は頭を抱えながら、ブチャラティのことを見た。
 何故、何故なんだ。何故、ブチャラティと共に――ジョルノとナランチャまでいるんだ?
「チャオ、ナマエ」
「よう、ナマエ! 元気か?」
 普通こういう時、他の仲間って連れてくる?
 嗚呼。これほど、ブチャラティが鈍感であり、少しデリカシーのないところがあることを恨んだことはあったかしら!
 ため息が出そうになるのをグッと堪えて、私はなんとか笑って応えた。多分、口元は引きつっていただろうけど。


 どういうこと。私は二人には気づかれないように、ブチャラティに抗議の目を向けた。だけどブチャラティは、私の視線には気づきそうにもない。それどころか彼はさらに、ズレた言葉を吐き出してきた。
「本当は全員連れてこようと思っていたんだが……。すまない。予定が合わない奴が多かった」
「全員連れてくるつもりだったの?」
 どうやらこの人には、ちゃんと『二人きりで会いたい』と言わないと伝わらないらしい。
 寂しい、あなたに会いたいとは言ったけれど――他の仲間を連れて来いとまでは言っていないわよ!
 そうは思っても、あくまで彼の好意に甘えている立場である私に、文句なんて言えるはずもなかった。
「……どうも、ありがとう」
 一応お礼は口にしたけれど、皮肉じみた声色になってしまった。正直仕方が無いと思う。

 だけど一瞬の後、私は後悔した。彼に甘えている立場なのは私の方だ。こんな意地悪な口をきける資格はない。
 だけど、後悔なんてする必要はなかったらしい。ブチャラティは私の口ぶりには全く気づいた様子はない――むしろ、どこか誇らしげにすら見える。
 もしかして彼には、私が心から喜んでいるように見えているのだろうか?
「礼はいらない。喜んでもらえただけでいいんだ」
 喜んでいるように見えていたらしい。
 なにか勘違いしている彼の言葉が、どこか滑稽に響き渡る。
 この人は一体、どこまで鈍感なのだろう。彼の端正な顔が形作る微笑みも、今日はなんだか憎らしく感じられた。


「で、ナマエ。ブチャラティに連れてこられたのはいいんだけどよォー、オレたちは何をしたらいいんだ?」
「ナランチャ、頼むから私に聞かないで」
 ブチャラティの考えてることなんて、私にだってわからないわよ。
 私が返事に困っていると、なんとブチャラティは、平然とこう説明した。
「ああ。ナマエが寂しがっているようだから、みんなで賑やかに盛り上げてやろうと思ってな」
「みんなにそんなこと言わなくていいから!」
 別に盛り上がりたいわけでもないし。
 考える前に、思わず口から文句が飛び出てしまった。恋人に寂しいなんて甘えたことを、どうして仲間に知られなきゃならないんだ。
 私が声を張り上げると、ブチャラティは流石に気がついたらしい。少し驚かれた後、謝られてしまった。
「そうか、すまない」
 素直に謝られても、素直に受け止めることができず、どうしても微妙な気持ちになってしまう。
 ため息を吐きたくなったけど、ぐっと我慢した。だけど、気にしないで、と言うこともできなかった。

 少しの間だけ、沈黙が訪れた。
 それは突然、ジョルノが変なことを口にして、破れることとなった。
「なるほど……つまりナマエを笑わせたら良い、ってことですか、ブチャラティ?」
 どういうこと?
 若干の気まずい空気を和ませようとしたのか、それとも単に空気が読めていないのだろうか。
 私は戸惑ったが、どうやら、そのどちらでもなかったらしい。ジョルノは真面目な顔をしていたし、ブチャラティはしっかりと頷いていた。
「ああ、そういうことになるな」
 どうしてそうなったの?
 私が聞こうとする前に、ナランチャまでもがこんなことを言い始めた。しかも、かなりやる気に満ちた表情で。
「じゃあ、オレもやるぜ。たとえ、命令でなくってもな! やってやるぜ!」
 命令でも別にやらなくていいから。
「……え? 何それ、どういうこと?」
 私は混乱していたけれど、この場にいる人たちは、私を納得させる気はないらしい。それどころか、ジョルノは真面目くさってこう放った。
「じゃあ決まりですね。ナマエを笑わせ大会、開催です」
 大真面目な顔して変なことを言わないで欲しい。
 そんな中、ブチャラティとナランチャもまた、ジョルノの言葉に大真面目な顔をして頷いた。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
 私の抗議も届かず、彼らはただ、好き勝手に盛り上がり始める。
 ああ、もう、どうしてこうなってしまったの!
 本当に、頭が痛い。この天然な男たちを止める術も思い浮かばず、私はただ、頭を抱えるしかなかったのであった。


「では、ぼくから先にやりますね」
 私が何かを言う前に、ジョルノが話し始めた。かなり一方的だ。
「……どうぞ!」
 私も、ここまで来たらやけになってしまっていた。もうどうにでもなれ、と、あまり期待はせずにジョルノのことを凝視する。
 さて。冗談も言えなさそうなこの少年が、一体どんなことをできると?
「よく見ていてください」
「うん」
 私が、ジョルノの行動に注目していると、彼はおもむろに、自身の右耳に指をかけた。
 そして、グッ、グッと耳たぶを耳の穴にしまい込んでいく。
 やがて、彼の右耳は全て耳の穴にしまわれてしまった。私の目の前には、一見右耳のない少年の姿があった。

「…………」
 ジョルノも私も、しばらく無言だった。ナランチャが「うわー」と引いている声と、ブチャラティが「ほう……」と感心している声が、やけに私の耳に響いた。
 正直に言わせてもらう。すごく気持ち悪い。
 どう考えても、十五の少年ができることではないし、そもそも普通の人間ができる芸当でもない。
 というか何故、この少年は、ちょっと誇らしそうな顔をしているんだろう?
 耳が耳の穴に入る、という不可思議な状況も、そんな芸当をしながら口角を上げるジョルノも、なんだかおかしく感じられてしまった。
「……なにそれ」
 思わず、笑ってしまった。
 すると、ジョルノもまた、笑顔を作る。ナランチャとブチャラティも、わっ、と盛り上がり始めた。なんなんだこの人たちは。
 耳がプン、と小さい音を鳴らして、元の形に戻るのもまた面白い。なんなんだこの少年は。
「喜んでもらえて良かった。最高に『ハイ!』ってやつです」
「全然『ハイ!』って感じには聞こえないんだけど」
 その言葉、あなたが言っていいの?
 微笑んではいるけれど、いたって冷静に言うセリフでもないと思う。
「まあまあ、いいじゃないですか」
「あんまり良くないと思う」
 なんだか釈然としない。
 私が首を傾げているのを他所に、ジョルノは不意に大真面目な表情をして、言った。
「さて……。ぼくが、ナマエをちょっぴり笑わせることができました。大笑いさせることができる人は誰でしょう」
 なんだそれ。これ、そういうルールなの?
 ジョルノがこう呼びかけると、真っ先にナランチャが手を挙げた。ブチャラティが若干手を挙げかけて、すぐに降ろしたように見えた。……まあ、見なかったことにしておこう。
「はいはーい! じゃあオレがナマエを笑わせてみせます!」
 真っ先に真っ直ぐ手を挙げたナランチャは、目をキラキラと輝かせていた。そして、屈託のない笑顔で私を見つめていた。


 もう既にナランチャが満面の笑みを浮かべているし、それでいいんじゃないだろうか? そう思いつつも、私はナランチャに問いかける。
「それじゃあ、ナランチャは何をやるの?」
「ふふん、これだぜ」
 ナランチャが、意気揚々と懐から取り出したのは、……魚のようなもの。
「……何これ?」
 聞くと、ナランチャは自信満々に答えた。
「ボラだぜ!」
 思わず吹き出してしまった。なんでそんなものを常温で持ち歩いているんだ。
 一応まだ生きてるらしく、ピチピチ動いている。何故。
「さっきジョルノに作って貰った。イカすだろ?」
「なるほど」
 イカすかどうかは別として、とりあえず納得した。かつてないほどの、スタンドの無駄遣いだと思うけど。
「作るって言い方はどうかと思いますがね……」
「それ、行くぜ!」
 ジョルノがボヤいたけれど、ナランチャは構わず行動を始めた。ナランチャは、もうちょっと人の話を聞いてあげてもいいと思う。
「おっしゃ、行くぜ! ボラボラボラボラボラボラボラボラ……ボラーレ・ヴィーア!」
 いつの間にかナランチャのスタンド、『エアロスミス』が現れていた。そしてナランチャは、ボラ目・ボラ科・ボラに向かって、ボラボラと言いながら撃ち抜いている。
 ……我ながら何を言っているのかわからない。でも、事実なのだから困る。飛んでいきな。
「『エアロスミス』と『ゴールド・エクスペリエンス』……夢のコラボだな」
 また、ブチャラティは、大真面目に天然ボケを発している。黄金のような夢に賭けている男が、一体何を言っているんだ。
「やろうと思えばブチャラティもできますよ、やりますかブチャラティ」
 もしかしてアリアリですか?
「いや、オレは遠慮しておく」
「そんなことを言っても無駄無駄、無駄無駄ですよ」
「だから、オレは」
「無駄ァ!」
「ボラボラボラボラ――ッ! ……ってみんな、オレのことを見ろよ……」
 ちょっとナランチャから目を離して、ブチャラティとジョルノの掛け合いを見ているうちに、ナランチャは既にボラを消し炭にしてしまっていた。
「あ、ごめん」
 軽く謝ったけど、ちょっとボラボラしすぎだと思う。消し炭って。
 私はナランチャの方へ向き合った。ナランチャは少し不機嫌そうに、頬を膨らませていた。

「で、このボラはもともと、何の物質に命を吹き込んだものなの?」
「ああ、これはもともとオレが持ってたチョコを、ジョルノにボラにしてもらったんだ! オレのチョコを、な……? チョコ……」
 ナランチャの機嫌を元に戻そうとして、質問をした。だけど、それは逆効果だったらしい。
「あ――ッ! チョコごとブチ抜いちまった! ジョルノ、オレのチョコ返せよッ!」
 ナランチャが、ジョルノに勢いよく掴みかかった。だけど、ジョルノはいたって冷静に返事をする。
「そりゃあ、『ゴールド・エクスペリエンス』で命を吹き込んだ生命は、死んだら元の物体に戻るとは言いましたけど……。元の物体ごと消し炭にしちゃえば戻りませんよ」
「ちっくしょー……」
 一体何をしているんだこの二人は。コントか。
「そういえばジョルノ、『ゴールド・エクスペリエンス』に命を吹き込まれた生命に攻撃したら、攻撃が返ってくるんじゃなかったか」
 そうしていたら急に、ブチャラティが割り込んで、ジョルノに聞いた。あれ、そうだったっけ?
「ダメージ反射? そんなものありませんよ」
 さっきとは打って変わって、ジョルノは鋭く返した。どうやら、この話題はタブーらしい。
 ダメージ反射なんてあったら、今頃ナランチャは死んでいた。チョコが消し炭になった程度で済んで良かったのかもしれない。
「ちくしょー……。オレのチョコ……」
 あまり笑ってはいけないのかもしれない。だけど、悔しがるナランチャの姿が可愛くて、なんだか微笑ましく感じてしまった。
 後でチョコを買ってあげようなんて、笑ってしまうくらいには。


「さて、次はブチャラティの番ですね」
 ナランチャからの追求を避けるためか、ジョルノは急にブチャラティへと話題転換をした。
「オレは、そういうのは苦手なんだが……」
 さっき天然大ボケかましていた男が何を言う。
 ブチャラティは一瞬戸惑っていたようだけれど、急に気合を入れる素振りを見せた。
「だが! ナマエのためだ、やってやろうじゃあないか」
 ……ちょっとだけドキッとしたのは、多分気のせい。
「しかし、何をしようか……」
「ブチャラティ、ブチャラティ」
 考え込んでいるブチャラティに、ナランチャが小声で耳打ちし始めた。
 まさか、アリにアリアリさせるつもりじゃないよね?
 私の心配を他所に、ブチャラティはさらに考え込む様子を見せた。
「なるほど……。だが、それで本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だって! もっと、そういうことに対しても自信もってくださいよ、ブチャラティ」
 そういうことってなんだ、笑いの道ってこと? そんなことに自信を持たせようとしなくていいから。というか、ブチャラティには自信を持たせない方が良いと思う。多分向いてない。
「よし」
 息を吐いたブチャラティを、私は見つめた。今の私はもう、完全にやけくそだった。


 さて、ブチャラティは何をするのだろう?
 そうしていると、ブチャラティが何かをする前に、急にナランチャが声を張り上げた。
「あ――ッ! そうだァ、まだ仕事残ってたんだっけ」
「は?」
 唐突。突然。不意を突かれて、思わず変な声が出てしまう。
 なに何、どうしたの急に?
「なあジョルノ、帰ろうぜー。あ、ブチャラティはしっかりナマエを笑顔にさせてくださいよ」
「……ああ」
「え、ちょっと」
 どういうことなの?
 ……もしかして、気を使われている? 今まで散々盛り上がっておいて、今更?
 ナランチャが、ジョルノを連れて帰ろうとしている。気を使われているのか、それとも全くの偶然なのか、さっぱりわからない。
「え、でもまだブチャラティのネタを見てないですよ」
「ほらジョルノ、いいから行くぜ!」
 ジョルノは釈然としない表情をしていたが、やがてゆっくり頷いて、ナランチャの後ろについて行った。
「まあ、ナマエを一番笑顔にできるのは、最初からブチャラティしかいませんからね」
「そういうこと!」
 やっぱり気を使われていたみたいだ。今更気遣われるのも、なんだか気恥ずかしく思ってしまう。
「じゃあナマエ、また今度」
「アリーヴェデルチ!」
 それはブチャラティのセリフじゃない?
「えっと、うん。じゃあ、また今度」
 帰路につくジョルノとナランチャを見送った後、私はブチャラティの方を向いた。ブチャラティは、真面目な顔をしていたけれど、どこか優しげな表情をしていた。


「ナマエ」
 ゆっくりと、ゆっくりと彼は言う。
 さっきまで、あんなに賑やかだったのに。頭は痛かったけれど、なんだかんだで楽しんでしまっていたのに――最初に望んでいた、静かな二人きりの状況に、こんなに緊張してしまうなんて。
 こんなに、ドキドキしてしまうなんて。
「完全に元気になったわけじゃあなさそうだな、本当に大丈夫か?」
「……気づいてたの?」
 この天然な男が、私の心情に気づいているとは思っていなかった。
 そうよ、そりゃあみんなといれば楽しいわよ。そうに決まっている。
 だけど、そうじゃない――私は、二人きりでいたかった。あなたと、二人きりでいたかったの!
「でも、今日はもういいわ。何だかんだで楽しかったし、元気づけられたし。ありがとう」
 皮肉でもなく、素直な気持ちでお礼を言うことができた。笑う、ということは大事なことなんだと思う。最初に意地悪な口を聞いてごめんなさい、と心の中で付け加えておいた。
 これで、終わりだと思っていた。また今度、二人で語らう時間を作ればいいと思っていた。今度こそ、はっきりと『あなたと、二人きりで会いたい』と、彼に伝えればいいと思っていた。
 今日は、たくさん笑うことができた。彼の仲間が、賑やかに盛り上げてくれた。だから、今日はこれで満足すべきなのだろうと、そう思っていた。
 だけど、この男は。
「まだだ。まだ、オレはナマエのことを、笑顔にできていない」
 そう言って、私を優しく抱きしめてきた。
 それは少し、優しすぎた。

 彼の匂いと、暖かさに包まれる。
 息が、止まってしまう気がする。
「……ブチャラティ」
 私をガラスのように扱う優しさは、逆に私に傷をつける。だけど、もっと、もっと、と言いたくても、言い出せなかった。
 何故か泣きそうで、何も言えないで。
 私が無言でいると、ブチャラティは不安そうに呟いた。それが、なんだか痛かった。
「……違ったか?」
「違わないわ」
 だから、私の方から抱きしめた。そこで、喉につかえていた言葉が、言えなかった言葉が、やっと、やっと溢れ出してきた。
「あなたと二人きりでいたい。あなたと語らいたい。あなたに触れたい。あなたを抱きしめたい。あなたとキスがしたい。あなたと、笑いたい」
 今日だけじゃない。今までぼんやりとしか言えなかった言葉を、感情を、全て吐露したかった。自分でも良く分からないのだけれど、私は半分泣きながら言葉を吐き出していた。
 そして、最後の言葉を吐き出した。それは、今一番叶えてほしい、我儘だった。
「ねえ、もっと」
 そこで、一度詰まってしまう。だけれど、息を吸って、覚悟を決めて、言葉を投げかけた。
「もっと強く、抱きしめて」
 私の言葉を聞いたあと、ブチャラティは力を強めた。それでも、まだ優しすぎたから、私の方から力いっぱい抱きしめた。暖かさと安心感が、同時に身体を駆け巡った。
「……オレだけかと思っていた」
 ブチャラティの言葉に耳を傾ける。近くて、暖かくて、低い声が心地良い。
「君を傷つけるかもしれないのが、怖かったんだ」
 ブチャラティの表情はわからない。だけど、彼の不器用な優しさだけは、しっかりと伝わってくる。
「今まで気づいてやれなくて、すまなかった」
「私も、」
 半分泣いていた私の言葉を、ブチャラティは唇で遮った。この感覚に、切なさと、寂しさを超える、幸せが生み出された。
 嗚呼。やっぱり、この人は――時々天然なところもあるけど――最高に、カッコ良い男だ。


 みんなで賑やかな時間を過ごすのも、もちろん楽しい。だけど。
 私の寂しさを埋められるのは、やっぱり、この人しかいないみたいだ。
 静かな、二人きりの時間の中で、私たちはそっと微笑んだ。


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