■そしてループするつまらない世界で
※6章ネタバレ、メタフィクションネタ
生まれ変わったら何になりたいかって?
にしし、急に何を言い出すかと思えば、案外つまんないこと聞くんだね。でも、教えてあげるよ。
嘘つきのオレの言葉を信じるかどうかは、キミ次第だけどね。
生まれ変わったら何になりたいか、ね。そうだなー、火星人になりたいな! ほら、火星人になって地球を侵略して、この宇宙をオレのものにするんだよ!
え? それも嘘だろって言いたいの? キミってホントに顔に出やすいよねー。ホントだよ、嘘だけど。
ま、ホントのことを言うとー。
生まれ変わったら、今度はキミなんかには二度と出会いたくないな!
キミに出会わない人生なら、なんだって良いよ。
こんなコロシアイを楽しみながら見て、それで勝手にオレのことを好きだと平気で言って、オレに会うために何度もゲームを起動して、オレの「人生」をループさせる。こんなに最悪な見世物にされるなんて、もうウンザリなんだよっ!
……不本意そうな顔だね? そんなことを言われる筋合いはないって、そう言いたいのかな。
ね、キミはどうして、そんなことを聞いたの? オレが生まれ変わったら何になりたいか、なんて。
生まれ変わっても、何度ループしても、王馬小吉はコロシアイを止めるために狂人を演じるって、そう言ってほしかったの?
――そんなことを聞いたつもりはないし、そんな答えを望んだつもりもない?
ま、そうだよね。オレが決まった役割を与えられているのと同様に、キミだって決まった役割から抜け出せないんだもんね。画面を隔てて触れることすらできない、オレとキミには。
なら、今のオレらにできることなんて、何も無いよね。全く。これが絶望なのかそうでないかは、キミに任せるけどさ。あーあ、つまんないの。
ああ、それと――今の話、全部嘘だよ。
オレが大好きなキミに、来世でももう一度会えたらいいなって、本当にそう思ってるよ!
むしろ――キミとは違う形で出会えた方が、お互いにとっても良かったのかもね。
キミだって、そう思うでしょ? 『視聴者』さん。