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 部屋に戻るとそこにいたのはティアリアではなかった。

「私はミュイリカよ! シャルネ君初めまして!!」
「どうも、宜しくお願いします」

 ショートカットの黒髪をした人形。瞳の茶色と雰囲気から言って東洋人らしさの際立つ自分より背の高いのが特徴である。服はキャリア女性のような服装から言い学校の教師のようなそんなイメージも脳裏に浮かんだ為につい言葉が敬語となった。

「シャルネ君は標準サイズの人形ねぇ、覚えたわぁ」
「標準サイズってどのくらいですか」
「えーと、何だったかしらぁ」

 その様子から見てこの人の脳内にはお花畑が広がっているような気がした。
 先ほどのティアリアと比較すれば相当ティアリアは大人びた性格をしているだろう。

「ティアリアは」
「ああ、ティアリアちゃんは図書室に行ったはずよ」
「へ、ティアリアって文字読めないんじゃ」
「そういえばそうだったかしらぁ…。私も字が読めないわ」

「じゃあ、何をしに図書室へ……?」

 そもそもこの屋敷に図書室などあっただろうか。
 そう本の地図を探ると一回に確かながら図書室と書かれた部屋がある事に気づく。

「あの子はね、特別なのよ」
「それはどういう」

 ティアリアは特別だそうだ。何が特別なのか、人形の基準すら分からない自分にとって特別も何もティアリアからは読み取れる可能性ですらない。

「あの子は私達と何かが違うの。あの子が此処に入って来た時から雰囲気が違ったのよ」

「雰囲気、」

「そのうち、シャルネ君も分かるはずよぉ」

 そう微笑んだミュイリカの顔の裏側は読めなかった。

 ティアリアには何かがあるらしい。


 



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