07
刹那、扉が音を立てて開く。その突然に肩が一瞬ばかり跳び跳ねるも直ぐに正体は顔を出した。 直ぐ様自分を見つけるなり近付いてくる。
「…お、君がシャルネかい?」
優しい声色で話し掛けてきた自分より背の高い人形。またしても生きている。 但し一見で彼は凄いモノだという事には了承した。
紫のガラス玉の瞳が顔を飾り、黒チェックの帽子の脇からは焦げ茶色の髪。 一目見て分かる、質の高そうな人形。
「さっき、博士から連絡があったんだ。君はどうやらSSランクらしいね」 「SSって最高級の、」 「そうだよ。字が読めるんだね」
手に持った本を指差し彼は言った。 その話を後ろより耳を傾けていたティアリアが口を開く。
「因みに、リト兄とはどっちが強いの」 「あーどうだろ」
やはり、彼こそがリト兄と呼ばれている屋敷内最強の人形のようだ。
「……意外と戦ったら負けるかもしれない」
真剣な眼差しでこっちを見つめたリト兄は、ふと何かを思い至ったように扉に振り返った。 その様子をティアリアが静かに見上げる。
「博士確か一番って言ってた気がするんだよなー」
と、続けたのち、
「確認してみる」
そう言うや否や、扉の外へと向かって行った。
「……あの人が、リト兄。屋敷内最強の人形」
「でも、シャルネが一番になるかもしれない」
ポツリ、ポツリと何かを訴えるかのようにしてティアリアは声を発する。 が、訴えようと一見見えた理由がなんとなく人形ならではの癖にも見えた。
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