05

「シャルネは文字が読めるのね。私読んだり書いたり出来ないから、羨ましい」

 ふと、ティアリアは瞳を細めて呟いた。やはり人形は人間のいう常識が外れているのだと内心驚きつつもシャルネは静かに本の続く文章を探った。





レムシャールの屋敷と世界
著 ウレイ・フェレイヤ

1ページ目 当屋敷と人形の掟

 《レムシャールの屋敷》
・博士の部屋に無断で入ってはいけない
・夜は部屋を出てはいけない
・地下へは行ってはならない
・無断でレムシャールの屋敷の敷地を出てはならない

 《人形》
・自分よりもランクが上なる者に逆らってはならない
・目上の者には敬語を使わなくてはならない
・博士以外の人間に生き動く姿を見せてはならない
(・博士近くの人間には特に用心すべき)

以上の約束を破った場合には刑が執行される。
罪を重ねればやがて魂を抜かれることとなるだろう。

 


 一旦目を本から放す。

「ルール?」

「そうね、多分。皆、この部屋に新しく来た人形にはこれを見せるんだけど、字が読めないから結局はリト兄が口答で説明してるのよ。だから、私も何が書いてあるのか、分からない」

 今の言葉にて、人形には文字が読めないだとか、先程の窓を開けるのにかなりの力が必要とされるというところから、人形は人間よりも不便であるということを覚えた。。

「その、リト兄って?」

 追加で、疑問を口に出す。

「この部屋内、いやこの屋敷内で一番ランクの高い人形ね。その内帰ってくるわ」

 この部屋は自分の部屋でもあるけれども、決して自分のみの部屋ではないようだ。と今の答えより理解する。
 ようやく少しずつではあるものの、自分のいる現状になれつつあった。
 そして次に思うはランクだ。先程の本の内容にもあったように身分を左右するランクであるが、自分はどの程度なのだろうか。

「ランクは?」
「ランクは、所謂自分の身分、強さのことよ。ランクは全部でSSからGまでの十種類。本に載ってると思うよ」

 そう言われて本に手を伸ばし、5ページ目を捲ったところで手を止めた。
 本によれば、SS S AA A B C D E F G、の順番なようだ。



5ページ目

《ランクについて》

種類は10種類。
強さによって左右され、強ければ強いだけランクは上がる。

SS…ステータス平均96%以上
S …90%以上
AA…85%以上
A …80%以上
B …70%以上





《ランク調べ》
ランクは、十段階評価で表す。
尚種類は、力、頑丈さ、知恵、素早さ、質、体力、器用さ、魂レベルの8つ。
基準は人間思考より。







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