一時の休戦により紅は幕を上げる
「仕方ない」
その言葉に情はなく。
「一時のみの約束ね」
説得力のない声が部屋を反響させる。
「異論は」
「ねえよ」
力強く言い放たれた言葉に足を出す者も消え。
「じゃあ、それで決定ですね」
漸くして長ったらしい種族会議も。
「とっとと終わらせろ。早く帰りてぇんだ」
終わりを迎えようとしていた。
「全く人類は馬鹿馬鹿しいこと」
一人が立ち上がり、扉を開く。
外よりの新鮮なる空気が、支配するかにように充満していた気味悪い空間を僅かに揺らした。
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ある者は叡知を求め、ある者は戦い、またある者は平凡を過ごす、そんな時代。
その中心地に世界フェアニシアはあった。
但しその裏側の者は共通し、奪還の夢がある。
"メイレシア夢の水晶"の名を持ったソレを巡り、
裏側の者は戦い、求める。
メイレシア夢の水晶が何処に存在するかなんて知らない。
誰一人として目に留めることなど無に等しい。
欲しいものは何だって、絶対神の力さえ手に入れることは可能。
メイレシア夢の水晶を求め、者は歩みを止めず。
昔より永久に、この世界に争いの言葉は絶えなかった。
それでも尚、彼ら彼女らは、足を止めずに手を伸ばす。
――――"絶対"に向かって――
闇世界の彼方
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