言い争いに時は過ぎ行く
「近年力を強めて数を増大させている妖魔ラユナ。そのまま放っておけば、お前達種族処か世界全体の生命体にも影響が来ると推測される。その対策とし、今回は各種族の代表である皆に集まって貰った」
大きな大きな円卓を囲む形豊かな種族。
黒白で統一されたモノクロの服に身を包んだまだ若き少年少女、彼らこそが種族の代表となる。
「妖魔ラユナって何が目的なのかな。数は凄いけど」
ネフィア族代表の水色のツインテールが口を開く。
「目立つ行動したらぶっ殺せばいいんだろ」
「あたしらアイリアには手をだせないよ。よって考える価値なし」
「アイリアと同じ」
早く帰りたいと考えを持つ種族が次々と口を開いた。
が、それが長い長い言い争いに繋がってゆく。
「ツメが甘いんだよ腐れ外道が、目立つ行動した時に殺せば済む話ではないだろ。俺は守りを固める」
誰かが言う。
「僕は精霊の力を借りるから土地は安全だし、関係ないかな」
「裏側で情報収集して臨機応変に行動してます」
「…これじゃ報告会じゃない。話し合いになってないわ。折角の場を作ってくれたんだから意見交流くらいしたらどうかしら」
他人事のように肘をつきながら見下した角が特徴的な女に、冷えきった視線が一斉に移動し、時が止まったかのような沈黙が一瞬の間だけ通りかかる。ただ、所詮は敵国同士が集まっただけの集団。一言がどうであれ嫌味が含まれているのは共通な様子。
「何その私関係ないですアピール。感じ悪〜」
「事実でしょうに、私は貴方たちと強さの単位というものが丸ごと違いますもの」
実に面倒臭い空気が流れていた。
その一方では。
「テメェ喧嘩売ってんのか!?お前と違って、此方は力が余るほどあるんだよ!力のない奴に言われても説得力ねーな」
「だから馬鹿力が知恵のある妖魔ラユナに勝てる訳ないだろ」
「貶す為に作られた空間じゃないわ。ほらあるじゃん。協力してみるとかの提案」
「私、その人間によくあるその綺麗事とかいうものが一番不浄だと思うのですよね。気味悪い」
「…だから、そういう言葉じゃ何も始まらない。フェアリーさんは情報収集しているんでしょ?その仕入れた情報を使って皆で対策考えよ?」
「誰がそんなこと思うのよ」
時間は更に更に空気を重くしていった。
「はいはい、皆さんそこまでにしてください。今回は」
偉いさんが手を叩いて注目を引こうとする。が、誰一人気になどしない。
飛び交う暴言によってかきけされて行くのであった。
「皆さん」
「きーいーてーくーだーさーいー」
「うっさい爺!!テメエら世界東部の国々は此方の事なんざ分からねーだろ!!」
「待って!!」
凛とした声が響く。
それが異常なまでに会議室に響き、誰もが声を一瞬にして留める。
「偉いさんの命令ですよね?これに逆らう事は出来ないわよ」
―逆らったら、二度とこの世界の土地に、足を踏み入れることは出来ない―
偉いさんを除く会議室内全員の脳内に直接その信号が送られる。のと同時して、会議室に沈黙が流れる。
一斉に口に鍵を掛けた彼らは静かに偉いさんを見上げた。
言い争いに一時間。
その間永久に見ていた偉いさんもまた強い精神の持ち主であろう。
流石は勇者。
その勇者は起立し全員の瞳に語り掛けた。
「……お前達を集めた所でこうなるのは百も承知だ。だから命令する。今より一時の休戦を全員布告しろ。緊急だ。お前達と違い、妖魔ラユナの望みは土地程度などではない。メイレシア夢の水晶は愚か、
……彼らの望みは世界の絶望と支配だ」
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彼らの望みは世界の絶望と支配だwwwww
何か安くさい台詞ですねwww
でも偉いさんのキャラに似合ってるかな…?
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