小説 | ナノ


そんなことを思っていたらふと、風紀委員長と目が合った。鋭い視線に心臓を一突きされた感じがした。今とても良い比喩を使った気がした。

「お前もふらふらしてると危険だ。ちゃんと周りを見ろ。」

僕はふらふらしているのだろうか。自覚はないけどもしかするとっていうか風紀委員長は9割正しいからそうなのかな。ショック。

「…おい。」
「小野塚もいちいち突っ掛かるんじゃない。その内厳重注意じゃ済まされない。暴行は停学になってもおかしくないのにお前の家のおかげで処分が下されないことを忘れるな。」

聡くんはお金持ちの家だから処分が甘いんだよね。理事長と何かあるみたいで風紀が下す処分がそこでストップされるみたい。コネクションって恐ろしいよね。

「俺がこいつに言いたいのは来週の新入生歓迎会のことだ。」

風紀委員長が僕を見て言った。新入生歓迎会。来週なんだ。僕を歓迎してくれるなんて心優しいイベントだね。新入生歓迎会という言葉に聡くんと伊織くんはぴくりと反応した。

「外部生を対象としているから小野塚と南とは別行動となる可能性が高い。小野塚を敵視した親衛隊が赤利を狙うかもしれない。」

僕を?洗練された親衛隊に四方八方狙い撃ちされたらたまったもんじゃないよ。それは僕を歓迎していると言えるのかな。よし、僕も武器マニアの父さんからもらった自衛グッズを解禁する時が来たようだな。早速今日の夜に使い方をググッておこう。

風紀委員長の話を聞いた聡くんと伊織くんは難しい顔で僕を見た。

「せいちぃが新歓で白濁に汚されるなんて嫌だな。」
「死ね。伊織、お前本当に死ね。」
「いやいやそんな下心なんて無く、本当に嫌だって言ってんの。友達が酷い目に会うのはさすがに笑えないっしょ。」



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