小説 | ナノ



「だって、そ、聡が罰なんか受けたら、俺、俺っ―――え?」

王道くんからぐるぐる眼鏡を取ることに成功したよ。何度手に取っても見事な眼鏡だね。後ろで伊織くんが「せいちぃ…!」って怒ったように言ってるけど、どうして?王道くんを取り囲んでた人も騒ぎ出したし。皆もぐるぐる眼鏡が欲しいのかな。でもこれは渡さないよ、僕のものだ。

「成一、他人のモンに触るなって言ってるだろ。成一の指紋が付いちまう。」

ぐるぐる眼鏡を眺めていたら、聡くんに取り上げられちゃった。残念。

聡くんはぐるぐる眼鏡を適当に投げて会長さんがこちらを睨み付けながら見事キャッチした。凄いね。僕はものを投げられるといつもキャッチ出来ないのに生徒会だけあってスペックが高い。

「お、お前っ…!」

なぜか王道くんが僕を指さして口をパクパクさせているよ。どうしたのかな。僕が王道くんをじぃっと見つめてると、「うぅ…。」とか唸って後退る。

僕が王道くんに1歩近づくと王道くんが1歩下がる。何か面白いなぁ。もう1歩って思ったけど、聡くんに腕を引かれて、聡くんの後ろに戻された。残念。



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