小説 | ナノ



「転校する時はお前も連れていくからな。」

聡くんが僕の頭をわしゃわしゃ掻き混ぜるように撫でて言った。

見た目はいかつい聡くんでも1人で転校するのは不安みたいだね。その気持ち、よくわかるよ。僕も1人でこの学校に入ることになった時は不安でしょうがなかったからね。ペットのアルパカと離れてしまうこととかね。ここの寮はペット禁止だから連れて来れなかったんだ。

「わかった。お母さんに聞いてみるね。」
「あぁ。」
「純愛…なのかっ…?これは純愛と呼んでいいのかっ!?さすがせいちぃ、奥が深いぜぇ…!」


やっぱり転校とかそういう大事なことはお母さんに1回相談しないとね。そういえば王道くんって昨日転校して来たばっかりなんだよね。馴染んでるよね。1日で友達何人もつくってるし。凄いね。

「聡からも何か言ってくれよっ!聡が照れ隠しで殴ったことくらい俺はわかってるから、聡から言えば皆もわかってくれるっ!」

聡くんとそんなやりとりをしていたら、王道くんがこちらへ歩み寄って来て言った。ふふ、そんなに僕に近づいてくるとぐるぐる眼鏡への欲求が抑えられないよー?

王道くんが聡くんと向き合って何か喋っている間に僕は王道くんのぐるぐる眼鏡にそっと手を伸ばした。



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