小説 | ナノ


反抗した王道くんに風紀委員長が怒るだろうと思って、聡くんのシャツを掴んで顔だけ覗かしてハラハラ見守っていたけど、風紀委員長はやっぱり眉間にしわを寄せてあからさまにご機嫌斜めになってしまった。

「事実だけを言えと言ったはずだ。処罰はこちらでするからとやかく口を出すな。」
「てめぇ…、たかが風紀のくせに生徒会に楯突くんじゃねぇよ…。」

王道くんの右隣にいる黒髪の人が風紀委員長に低く唸るように言った。今にも掴みかかりそうなオーラを感じるよ。あれ、この人って昨日聡くんと殴り合ってた人じゃないか。顔に湿布とか絆創膏張ってる。痛そうだね。聡くんも同じようなスタイルだけど。

そういえば今思い出したけど、王道くんの周りにいる人ってほとんど生徒会だね。始業式で紹介があったあの人達だったんだ。何か見覚えがあると思ったよ。黒髪の人はずばり会長さんだねっ。

「たかが風紀?風紀は生徒会と同等な権力を持っているが、って何度も同じことを言ったはずだ。物覚えの悪い奴だな。」
「そんな酷いこと言うなよっ!謝れよっ!」

風紀委員長と会長さんの間に険悪なムードが漂っているのにそれをもろともしない王道くんはさすがだなぁ。


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