小説 | ナノ


風紀委員長だ。今日も安定の怖さだなぁ。

「昨日の食堂の騒ぎについて事実だけを言え。」

射ぬくような目付きで見渡す風紀委員長に僕は思わず聡くんの後ろに隠れた。怖すぎ。

「小野塚聡が何の罪もない逢を殴っただけです。」
「俺の可愛い逢ちゃんを殴るなんて〜、停学モンだよねぇ〜。」
「俺は別に良いっつってんのに、こいつらが大袈裟なんだよっ。そ、聡だって悪気は無かっただろうし。」
「いや、悪気しか無かったと思うよ。」

伊織くんが口を挟むとまた王道くんその他もろもろが騒ぎ出して、風紀委員長の表情がどんどん険しくなっていく。怖いよー。こんな顔で怒鳴られたらたまったもんじゃないね。

「黙れ。」

風紀委員長がまたぴしゃりと言う。怒鳴ったわけでもないのにこんなに綺麗に耳に入ってきてすぐに静かになるって凄いよね。イラついてるのが丸分かりだけどね。

王道くんは一瞬怯んだ後風紀委員長の威圧感に負けじと吠えるように対抗する。

「何でそんなこと言うんだよっ!こいつらは俺のために言ってくれてるだけじゃねぇか!!」

王道くん、子犬さんみたいだ。可愛いね。もじゃもじゃしてるから黒いマルチーズって感じ。僕は犬派っていうよりはアルパカ派なんだけどね。


prevnext