小説 | ナノ


翌日、聡くんは予想通り風紀に呼び出されてしまった。ついでに僕と伊織くんも呼び出しされてしまったよ。いつものことだけど。

いつものように風紀室に入ったんだけど今回はやけに人口密度が高いな。王道くんの周りにはたくさんの人がたかっている。

「あ、聡っ!」

王道くんが嬉しそうに聡くんの名前を呼んだ。んん?何だ、聡くんは王道くんと仲良いじゃないか。と思ったら聡くんは見たことないくらいに顔を歪めていた。あれれ。

「これはこれはっ!王道御一行様々ぁ!あらあら逢ちゃんったら聡ちゃんに猛アタックで攻めズのヤキモチを焼かせるのかなぁ?もー、この無自覚小悪魔ちゃんめっ!」
「い、伊織…。」

伊織くんは目をきらきらさせて王道くんに話しかけてるけど王道くんは引いてる様子。んー。これはもしかすると、あれだね。王道くんは聡くんが好きだけど聡くんは王道くんが嫌いで、伊織くんは王道くんが好きだけど王道くんは伊織くんが嫌いっていうとても複雑な関係ってやつだね。聡くんが伊織くんを…、ん?もうこんがらがって来た。

「静かにしろ。」

伊織くん達が騒いでいると風紀室の奥から低くて威圧感がある声がして、しーんと静かになった。ついでに室内温度も下がったような気がした。



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