小説 | ナノ



「ていうかっ!聡ちゃん!いくらせいちぃが大事でも殴っちゃ駄目だよっ!!王道に目をつけられたらちょーー面倒なんだから!しかも王道くんはすごく可愛いのにっ。」
「成一に話し掛けるのが悪い。成一より可愛い奴なんていない。」
「親衛隊かっての。」

入学したばっかりの時に伊織くんに親衛隊について教えてもらった。好きな人の為にいろいろ頑張るグループなんだって。凄いよね。親衛隊っていう名前も、自衛隊とか防衛軍みたいでかっこいい。ミリタリー系だね。

「もうね、ちょっとしたことで殴るの止めなよ。また風紀に呼び出されるよ。」
「…ふん。」

伊織くんにお説教されて聡くんは気まずそうに顔を反らした。確かに風紀委員会の人は怖いからね。特に風紀委員長はね。僕も何度かお説教されたことがあるんだけどすごく怖かった。正しいこと言ってる気がするから悪い人ではないんだと思うよ、多分。

聡くんはよく殴るからよく風紀に呼び出されるんだ。さっき、王道くんを殴ってしまったから聡くんはまた呼び出されてしまうのかな。そうしたら僕も一緒に連れて行かれてしまうよ。

「聡くん、風紀は嫌だな。」
「…そうか。」
「ほら、せいちぃもそう言ってることだし、少しは抑えて。」

伊織くんが言うと聡くんは渋々頷いた。これで風紀に呼び出されるのは減るね。良かった良かった。


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