小説 | ナノ
「成一に話し掛けてんじゃねぇよ。」
「聡って…すごい、強いんだな…。」
「逢に何すんだこの野郎っ!」
聡くんと近くにいた人が殴り合いを始めてしまった。聡くん、僕と一緒に帰ってくれないのかな。じゃあちょっとだけ聡くんを待ってあげよう。ぐるぐる眼鏡も気になるし。
「聡ちゃんはせいちぃの為に!会長は王道くんの為に愛の殴り合いとかマジ微笑ましすぎる展開ーーー!どっちかが倒れるまで殴り続ける美しすぎる戦いうまうまっ!」
そーっとぐるぐる眼鏡を手に取って、眺める。すごくレンズが分厚い。度は入ってないみたいだけどこれをかけて日常生活が出来るなんてあの子すごいな。もじゃもじゃな髪の前髪も目を隠してるしちゃんと見えてるのかな。
「ちょ、お前眼鏡返せよっ!謝れよっ!」
「あ、ごめん。でももうちょっと見ていい?」
「はぁ!?何言ってんだよっ!ていうか、お前…綺麗だな…。」
その眼鏡の持ち主に怒られちゃった。やっぱりいけない事だったね。でもこれまだ気になるから見ていたいんだ。製造会社のロゴとか入ってたら調べやすいんだけど、見当たらないなぁ。
「成一と喋るなって言ってんだろ。」
あらら、聡くんがまたその子を殴っちゃったよ。
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