小説 | ナノ


伊織くんが食事代を全て奢るという条件で結局僕達は食堂に行くことになった。初めての食堂楽しみだな。

食堂の扉は大きくて圧倒された。食堂なのに凄い仰々しい扉だなぁ。やっぱり聡くんの言うとおり危険な場所なのかな。食堂を目の前にして怖気づいてしまったけど、伊織くんが笑顔で門を開けたからついていくしかなかった。

僕達が食堂に入るとがやがやして騒がしかったのが一瞬で静かになった。そりゃぁもう示し合わせたみたいにすうっと音が消える感じに。こんな静かだと音をたてづらいよ。足音がたたないようにそっと歩いていく。聡くんと伊織くんは堂々と歩いているなぁ。食堂初心者の僕と違って余裕があるんだね。そのうちだんだんとざわざわし始めて安心した。これで気兼ねなく歩ける。

「え…?何であの方々が…?」
「ちょっと、小野塚様がいるんだからあんまり見ない方が良いよっ。」
「伊織ちゃん可愛いー!」

更に話し声が大きくなって僕達が入った直後みたいな騒がしさに戻った。それにしても伊織くんはモテるなぁ。横を歩く伊織くんをちらっと見て確かに可愛いなと思ったよ。


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