小説 | ナノ


夏空の下、外を歩けばじりじりと日差しが肌を焼く。歩いているだけで汗が出てくるのが嫌な感じ。山の中だからセミが街に比べて煩いし。高性能な冷房が完備された校舎とは違って軽くぶっ倒れそうになるほど暑い。本格的に夏なのだ。そして明日からは夏休みなのだ。

期末テストの結果はギリギリAクラスの平均点を越えたくらい。サボっていた割りにはいつも通りの点数を取ることが出来た。それにしても終始サボっていたもじゃ男の成績はどうなっているのだろう。テスト期間中はさすがに授業放棄のもじゃ男も教室にいてきちんと受けていた。もじゃ男は隙あらば俺に絡みまくっていたのだが総無視で乗り切った俺にとうとう最終日に泣き喚かれ、同じクラスの会計と書記に睨みつけられたのは記憶に新しい。因みに拓弥はぶっちぎりで1位だった。ほぼ満点という恐ろしい奴だ。

とりあえず明日からの夏休みはパラダイス。今日中に荷物をまとめて寮を出る予定だ。楽しみなんだけど、俺には面倒なことが起きていた。

ラブレター、ていうヤツ。教室の俺の机の中に入ってた。今更俺にラブレターを出す生徒なんていたのがびっくり。終業式が終わったら校舎裏に来て下さい、とか書いてあった。手紙の主は初めて見る、知らない名前だった。拓弥にからかわれるといけないので奴には黙っておいた。

手紙を無視するのは常識的にどうかと思ったので、終業式が終わったらすぐ行って早くフってしまおうと思っていたのだが、宮下に終業式の後片付けを手伝わされていたから遅くなった。最近アイツ、俺に雑用を押しつけるようになったが、まだ二週間前のことを根に持っているのだろうか。



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