小説 | ナノ
「そんな怒らないでよ拓弥くん。僕に隊長の座を奪われたことまだ気にしてるの?根に持つタイプだね。だけどしょうがないよ、僕の方が嫌われ者の拓弥くんより皆をまとめられるんだから。」
こいつ、棗隊長といったか、が言ったことを察するにだいたい事情はわかった。多分こいつは今の生徒会長の親衛隊隊長なんだな。
くすくすと笑う現隊長。拓弥と正反対と思いきや、喋ると口調こそ穏やかだが内容は少し刺がある。
「別に隊長の座とか親衛隊とか超どうでもいいし。つーかさ、まとめられるとか言ってるけどまだそっちの奴ら制裁してるみたいじゃん。クソ会長に従わなくていいのかよ。」
「嫌だな、あんなゴミクズ達は除隊してもらったからもう僕と関係ないし、さっさと退学にでも何でもされればいいよ。会長様だって僕が指示してないことくらい分かって下さる。拓弥くんの時と違って。」
うわぁ…性格悪ぅ…。サイドの2人もウンウンと頷いていて恐ろしい集団だと思った。面倒くさい奴らに絡まれたな。俺は拓弥を置いて自分だけ教室に戻っておこうと思いそっと横にずれると手首をがっちり掴まれる。うわぁ…拓弥の顔怖ぁ…。
そんな俺と拓弥の小さなやり取りを見て現隊長はわざとらしく驚いた様子見せた。
「拓弥くんと桐矢くんってそんなに仲良いんだ。やっぱりあの桐矢くんが拓弥くんに落ちたって本当なんだ。」
「「はぁ?」」
俺と拓弥の声が重なったことに現隊長はまたおかしそうにくすくすと笑う。
あの桐矢くんが拓弥くんに落ちたってどういう事だよ。そんな噂出回ってんの。
「いや、…あり得ないだろ。」
「キモ…。」
俺達は嫌悪感を露にしてお互いに顔を見合わせた。
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