小説 | ナノ


明日は期末試験。期末試験が終われば、夏休み。これすなわち女の子と遊び放題という、あと一歩で女の子に会える状態まで来た。俺は、学園にいなかった空白の3ヶ月の授業内容も何とか把握して準備万端である。俺の隣に定位置でいるようになった新崎拓弥も実は常に学年10位以内に入る強者である。勉強も出来るから妬みに拍車がかかるんだよな。

そして1つ進歩したことがある。それは名前呼び。一昨日くらいに新崎、もとい拓弥に名前呼びをせがまれて「もじゃ男みたい。」と言ったら殴られた。とにかく俺は同年代の男と初のお互い名前呼びを果たしたわけだ。

で、今現在直面している問題はというと、

「あれ、ここじゃなくね?誰もいねぇじゃん。」
「じゃあここも違うのかー。…もう嫌だ。」
「蓮がここだって言ったんだろ。マジないわ。」

次の生物というより既に授業が始まっている生物が突然教室が変更になったらしく、いつもの理科室には誰もいなかったのだ。ネットワークが狭い俺達にはその知らせが回って来なかったわけで。

とりあえず理科関係の部屋を当たってみるも、どこも無人なのだ。知っての通り、馬鹿でかいこの学園には理科関係の部屋だけで9つもあるのだ。部屋が多くあるのも迷惑だよな。

5つ目の部屋にたどり着いてもまたもはずれで、もう授業時間は終わりに近づいていた。

「…もうよくない?どうせ間に合わないし。」
「…そうだな。」

ということで最後に行き着いた理科特別室4に入り、適当にダベって時間を潰すことにした。

それにしても学級委員長くらいは教室変更のことを教えてくれてもいいのに。そんな風に地味で気弱そうな我が学級委員長を思い浮かべてみた。


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