小説 | ナノ



「じゃ、そういうことだから。」

心配事が1つなくなってすっきり爽やかな気分になったところで羽根に別れを言う。

未だ現実味がないように呆けた様子の羽根を見て更に笑いそうになる。いつもの鋭い眼光で相手を威嚇するような顔はまるでない。そんな羽根を置いて俺と新崎は自分の部屋へ帰ることにした。

とは言ってもこの隣の隣の隣の部屋が俺の部屋なので実は結構ご近所さんであったのだ。

「お前がちがちだったな。」

新崎が先ほどの俺の様子を愉快そうに笑ってからかってくる。

「新崎くんさぁ、ちょっとせっかち過ぎるよ。お前が勝手に押さなかったらもっと落ち着いてたし。」

俺が咎めても新崎は悪いな、と全く悪気が感じられない笑顔で言う。

まぁ、新崎の協力あっての結果だしプラマイ0ってことにしておこう。

新崎と別れて自室に入るとどっと疲れが出てベッドに落ちた。一件落着。今日は割と色んなことがあった。そういえば宮下と家族以外でこんなに男と喋るなんて久しぶり、っていうか初めてかもしれない。昨日出会ったばっかりなのに新崎は隣に馴染んでるし。父さんは俺をこの学校に入れてこういう風にさせたかったのかなぁ。

まぁ、どうでもいいか。




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