小説 | ナノ


段ボールを運ぶのを手伝ってもらっただけで大げさかもしれないが、他に考えるのが面倒なので新崎の案に乗ることにした。

「手土産って例えば?」
「質問が多いな…。まぁ、クッキーとかお菓子が妥当だろ。」
「クッキーぃ?」

新崎が嫌そうな顔をして文句をつけてきたのをスルーして語尾を上げ気味に聞き返す。

だって、赤髪のいかつい顔をした不良である羽根がクッキーを食べている姿が思い浮かばないから。第一、不良が何かを食べているのが想像出来ない。ケンカが主食みたいな。

「桐矢ってさぁ、素で失礼だな。」

俺が何を考えていたのかを見抜いたのだろうか新崎が呆れたように言った。いやお前に呆れられたくないんだけど。

「じゃあクッキーで良いよ。もし羽根がクッキー嫌いではたき落とされたら新崎のせいだからな。」
「何でだよっ!?俺関係ねぇし!」

確かに新崎は関係ないけど例でクッキーを上げるのが悪い。ていうか本当にクッキー嫌いだったらお礼にならないな、と思ったが、そんなに深く考えなくていいやと投げ遣りになる。礼を言うだけ良いでしょ。


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