小説 | ナノ


特に変わったこともなく昼休みになった。少し時間が経ったからか新崎はすっかり機嫌がなおって昼食を共にしている。空き教室で。新崎も俺と同じで買い弁派だった。

俺はもじゃ男の襲撃(朝同様いつも昼食も食堂へと誘いにやって来る。)から逃げるために空き教室で昼食を食べていた。なので、新崎もご一緒にというわけである。

因みに新崎は今まで一目につかない非常階段で1人で昼食を食べていたようだ。何でも、1人で食べているのを人に見られるのが嫌みたいで。その光景を想像して不覚にも涙が出そうになった。

「今日、宮下やけに機嫌悪いと思ったらお前のせいだったのかよ。」

今朝の出来事を説明すると、新崎は俺を半目で見つめて呆れたように言った。そんな新崎に俺はすかさず言い返す。

「いや、俺のせいである前にお前のせいでもある。」
「じゃあ、俺のせいである前にあのクソゴリラ達のせいじゃねぇか。」

…口が達者なこと。まぁいいや、どうでも。宮下の機嫌がいつなおるのかが、気になるところだ。あと羽根にお礼を言わなかったこともだ。


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