小説 | ナノ


ただのゴミ捨て場と言えどもそこは金持ち学校、無駄に豪華で綺麗だった。何か扉も縁などがきらきらしているし、中に入っても白い壁で置いてあるビニール袋がとてもゴミとは思えない。臭くないし。

「…よし。」
「はぁぁ…。」

羽根は軽い調子で置いたのに対し、俺は盛大に息を吐いた。何だか達成感が感じられる。疲れたー。羽根も一仕事を終えた、というかのように少し嬉しそうな様子だ。

段ボール無しで動くと本来の体重が軽くなったように思える。腕が麻痺している気もするが、重荷がなくなった喜びを噛み締めながらゴミ捨て場を後にした。



「…おい。」

しばらく歩いたところで隣を歩いていた羽根が声をかけてきた。羽根は眉間にしわを寄せて小難しい顔をしていた。

「気まずいから何か喋れよ。」

…何だそれ。気まずいってさっきまでもずっと無言だったじゃないか、何を今さら言い出すのだ。もしかしてずっと気まずかったの。

「じゃあ質問していい?」
「おぅ。」

俺が尋ねると羽根はにやけた顔で返事をした。どんだけ気まずかったんだよ。不良のくせに意外と感情が豊かだ。


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