小説 | ナノ



「何処までだ?」
「ゴミ捨て場だけど…。」

何でこいつが助けてくれるの。というより何でここにいるのだろう。こいつももじゃ男の取り巻きの1人だ。今は皆で食堂で騒いでいる頃なのに。

疑問に思っていたら、羽根は歩きだしてしまったから俺も軽くなった荷物を持って後をついていく。

半分に軽くなったのにまだ息が上がる俺に対して羽根は軽々と持って歩いている。やはり不良は違う。

「遅ぇよ。」

羽根が振り返って距離が開いた俺に呆れ顔で言った。

「…疲れてんの。」
「貧弱。早くしろよ、面倒くせぇな。」

自分から面倒ごとに首つっこんだくせに。しかも羽根が強いだけで俺が貧弱ってわけじゃない。だが、俺は助けてもらっている身分だし、一応待ってくれているので文句は言わないことにした。

俺も羽根も自分のペースで歩いて間が空いてしまったら羽根が俺を待つ、俺が羽根に追い付いたらまた歩きだす、というのを繰り返して、ようやくゴミ捨て場にたどり着いた。

本当のことを言うと、ゴミ捨て場の正確な位置を分かっていなかったから羽根には道案内という意味でも助かった。


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