小説 | ナノ
モーセのごとく俺達は生徒達に避けられた。こちらを横目に小言でひそひそ話し合ったりもしている。寮に近づいてきて人気が少なくなったところで新崎が口を開いた。
「お前の部屋どこ?」
てっきり今さっきの生徒達への悪口でも言い出すのかと思ったが予想が外れた。よっぽど慣れているのか、大変だな有名人は。
「502号室。」
「あー、俺612だ。階が違うー。」
「別にずっと一緒じゃなくたっていいだろ。」
「そうなんだけどな…。」
新崎は残念そうに言う。
5階で俺と離れた後6階の寮部屋に行くまでさえ不安なのかよ。そんな可愛い性格してないだろ。
「まぁいい。そういや桐矢は爽やか三寺王子と同室だったよな?嫌われてんだろ。俺同室者に逃げられて今1人部屋状態だから嫌になったらいつでも来てもいいぞ。」
「同室者に逃げられる状況がわからないんだけど。」
嫌われすぎじゃないのか。憐れな。三寺とは関わらない分トラブルも少ないが、トラブルが起きた際は宮下の部屋に行くので、新崎の部屋に行く予定はないがそれは言わないでおこう。
こうして、5階で新崎と別れ、自分の寮部屋に入って寝た。今日はいろいろあったなー。
何か忘れているような気がしないでもないけど寝よう。
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