小説 | ナノ



「それじゃ決まりだ。君たちは安全だし俺たち風紀は仕事減るし万事解決。」

俺達の返事に音無は嬉しそうに言った。

うん。風紀の仕事が減る、ね。結局は自分かよ。まぁ、確かにもじゃ男で手いっぱいなのだからこれ以上仕事を増やしたくはないよな。今回のことも遠回しにもじゃ男のせいなのだが。

「じゃ、1人では行動しないで、人通りがないところに行かないでね。あー、そうそう。今回のこと一応ユイちゃんに報告しておくから。じゃーねー。」

そう言い残して音無は去って言った。風紀の仕事である校内の見回りの途中のようで忙しそうだ。

ユイちゃんとは風紀委員長由井のことだろう。呼び名が女の子みたいだ。男のくせに、気にくわん。

「今日は疲れたからもう帰る。というか帰る途中だったのにあの野郎共…。」

新崎が憎々しげに言い、俺も特に何も用事がなかったので寮まで一緒に帰ることにした。

俺と新崎が並んで歩いていると、視線が一気に集中してきた。こんなに凝視されると気持ち悪いなー。

ちらりと新崎を見ると周りを気にする素振りも見せずただ前だけを見て歩いていた。慣れているのだろうか。新崎はいつもこんな視線に囲まれているのか。軽く驚異。


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