小説 | ナノ


保健室に入って来て電気をつけたその男は赤いメッシュの入った金髪に着くずした制服で見るからに不良、という風貌。しかしその実体は風紀副委員長音無誠だ。

突然の音無の登場に俺も新崎も驚き、あっけにとられた。

「ん?誰かと思えば噂の新崎くんと噂の桐矢くんじゃないか。」

音無は眉をハの字にしおどけた表情をして言った。威圧感のある見た目とのギャップがある。

「こんなところで風紀乱すようなことしないでよ。ていうか桐矢くんって男イケるようになったんだ。」
「いやイケないし。風紀乱すようなことしてないし。」

どうもこの学園は男が2人でいるだけで良からぬ妄想をするようだ。普通はそんなこと考えもしないだろうに、学園に毒されている奴は可哀想だ。

「何だ。新崎くんが可愛いからついにあの桐矢くんが手を出したのかと。」
「可愛いとか言うなよぶん殴るぞ。」
「え、割と怖いこと言うね。」

音無を睨んで言った新崎。短気。

「で、2人はここで何してたの。暗い保健室で君たちは何をしていたのかい?」

そんな新崎を軽く扱って音無は本題に入って言った。


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