小説 | ナノ



「っ!」

そんな時俺はその新崎とばっちり目が合ってしまった。見て見ぬふりをして逃げようと思ったその時、

「桐矢ぁっ!!」

新崎の叫び声で周りにいた生徒が反応し、逃げようとした俺を即座に捕まえた。

「巻き添え食らっちまったなぁ桐矢。自分の運の悪さと新崎の性格の悪さを恨むんだな。」

新崎を恨みに恨んだ。関わったことは無く、噂ばかり耳にしていたが、なかなか性格が悪い奴だった。

「チッ…離せよッ!きもッ!」

新崎ならまだしも俺をヤる気か?とてもきもいんだけど。

悪態をついても呆気なく捕らえられ、引き摺られて新崎の隣で3人の生徒に囲まれる形となった俺は必死に打開策を考えていた。

どうやって逃げようか。新崎のように小柄な訳ではないのだが、女の子には線が細い方が好まれるので筋トレなどしなかった。つまり、この3人を撃退出来るほどの力はない。

どっちを誰がどうするかを気持ち悪い笑みで話し合っている間に俺の決意は固まった。男なんぞに好きにされてたまるか。



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