小説 | ナノ


その後適当にダベって7時くらいになって俺は宮下の部屋を去ることにした。

宮下は帰り際に真面目に心配しているような表情になって言った。

「転校生にはマジで気をつけろよな。また怪我しちまうぞ。」
「はいはーい。」

そんな宮下を気の抜けた返事で返す。きっともじゃ男の取り巻きが俺の悪評を教えてあっちから離れてくれるだろうから別に深くは考えていない。

この学園で俺と普通に話す奴なんて宮下くらいだからな。


と、思っていたのだが…。

「蓮!千鳥達から聞いたぞ!蓮は全然学校に着てなかったんだってな!?駄目だぞそんなの!街で女遊びなんていけない!これからは俺と男の友情で青春しようぜっ!!!」

何事だ。部屋に帰ったらもじゃ男ともじゃ男の取り巻きがリビングを占領していた。恐らく同室者三寺が連れ込んだのだろう。

もじゃ男は俺が帰って来るなり大声で説教し始めた。

「真灯留、そいつに何言っても無駄だよ。ほらこっち来て一緒にお菓子食べよう?」

いつもは誰に対しても敬語のはずの生徒会副会長椿琥珀がもじゃ男にタメ口で話し掛けた。俺に敵意の眼差しを向けて。嫉妬か。一方的に話されただけで嫉妬か。

もじゃ男から距離を置いてくれるだろうと考えていた俺が間違っていた。ならば、俺から離れなければならないのか。面倒。

これ以上関わらないために俺はまた宮下の部屋に向かうのだった。



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