小説 | ナノ
目覚めたのは3時間後、午後5時をまわった頃だった。俺は保健室を後にし、宮下の元へ向かった。
教師には1人1人寮があって、寮館の2階は全て教師の部屋。3階から7階が一般生徒の寮で、8階が1人部屋の生徒の寮である。
「宮下ー。」
宮下の部屋にはよく行き来するので玄関の前で適当に呼んでノックすればドアが開く。
「目ぇ覚めたのか、大丈夫か。」
「一応。」
宮下は俺が寝ている間に見舞いに来てくれていたらしい。担任だから当たり前ではあるが。
入ると懐かしいタバコの匂いがして、ぐちゃぐちゃに物が散乱したリビングも3ヶ月前とあまり変わらない。いや、前より汚なくなったかもしれない。
リビングの真ん中にある四角いテーブルに向かい合わせであぐらをかくのが定番であった。
「転校生、ヤバかっただろ。」
「だいぶね。」
思い出して嫌な顔をする俺に宮下は苦笑いした。
「何で男なんかに、しかももじゃもじゃの男なんかに惚れちゃうのかね。」
「まぁ、あいつらにはああいう非常識なところが新鮮で心を奪われるんだろ。あいつらに真っ直ぐ向かってくる奴なんていなかったからな。」
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