小説 | ナノ


SIDE:朝日

久しぶりに帰って来た同室者、桐矢蓮の様子がおかしかった。あまり感情を表に出さない桐矢が明らかに落ち込んだ様子だったのだ。泣いていたし。

どうせ女のことだろうとは思うけど。あいつが帰ってくる時はいつも浮気がバレて逃げてきた時だと宮下が言っていた。

そんなことより真灯留に会いたい。

「あ!朝日っ!」

急いで食堂へ向かうといち早く俺を見つけて名前呼ぶ真灯留。真灯留の横にはいつも通り、不良と周りから恐れられている羽根繋都がいた。周囲からは嫌悪の視線ばかり。

先月桜香学園に転校して来た鈴代真灯留は俺や羽根、生徒会の連中など親衛隊持ちの生徒と仲が良い。

真灯留はもさもさの鬘にビン底みたいな眼鏡で可愛い顔を隠していて、親衛隊の連中から嫉妬されているのだ。

真灯留はあんまり気にしていないみたいだけど。

「真灯留、待たせてごめんね。」

変な奴が帰って来たから。

「全然大丈夫だ!早く行こう!お腹ペコペコだ!」

いつものように元気よく喋る真灯留。ペコペコって言うところ可愛い。


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