小説 | ナノ


何事もなく同室者はリビングに上がり、電気をつけた。

「うぉあっ!?」

同室者は俺の姿を見つけて奇妙な声をあげた。俺が顔を上げると、薄い茶髪の細身のイケメン、同室者の三寺朝日が驚いた顔のまま固まっていた。因みに彼はイケメンなので親衛隊持ちである。

「何で、…。」

何で戻って来ているのか、何で暗い中ここにうずくまって泣いているのか、など聞きたかったのだろうが混乱している同室者三寺はまた固まってしまった。

「…いろいろ。」

理由が複雑だし、話す気力もなかったし、話す間柄でもなかったので俺は素っ気なく返した。

同室者三寺は未だ不審がっていたが、諦めたように部屋に入っていった。

仕方ない。3ヶ月もいなかった奴がいきなり帰って来ていてリビングでうずくまっているのだ。気持ち悪いよなー…。

もう、このまま灰になりたい。

そして本当にこのままの状態でいると、同室者三寺が部屋から出て来た。食堂へ行くようだ。もうこんな時間か。

「…まだそこにいるの。」

驚きがさめた同室者三寺は前と同じように冷ややかな口調で言った。



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