小説 | ナノ


桐矢が曲がり角を曲がったので追いかけようと同じく曲がると、

「お願い信じてよ。俺は今本当に学園の寮にいる。出られないんだ。伶奈を避けてるわけじゃない。」

絶句。

桐矢が電話をしながら歩いている場所は絶賛制裁中の転校生と親衛隊員達の間だったからだ。

ヒートアップする痴話喧嘩で周りが見えていないのだろう。俺を含め、転校生も親衛隊員達も目を見開いて桐矢を見ていた。

あの煩い転校生が黙ったのか、と少し驚いた。

桐矢によって止まった時間は桐矢がいなくなると動き始めた。

「な、何なんだよあいつ!」

最初に声を出したのは例の煩い転校生。この場にいる者の全員の気持ちを大声で発した。

「あ、あいつはどうでもいいの!とにかく、あんた目障りだから!」
「おい。」
「何っ!?…ぁ。」

よりによって風紀委員長の前で制裁を再開するとは。俺が声をかけ、不機嫌そうに睨みながら振り向いた親衛隊員は俺を見て青ざめた。

「風紀だ。」



SIDE END



prevnext