小説 | ナノ


俺がこの学園に来た理由は前にいた学校から追い出されたようなものだった。

俺は中2からの編入生だった。前の中学校は結構有名な進学校で規則が古くさいところもあった。

不純異性交遊は禁止だったり。

お分かりだろうか。俺はこの規則をことごとく破っていたのである。その校則違反の度が過ぎてしまい、中1の終わり頃に俺と父さんが校長室に呼び出され、厳重注意をされた。

事の大きさに嘆いた父さんは俺を女の子達から離れさせる為に全寮制の男子校で、俺の2人の兄の母校でもある桜香学園に入れたのである。

意味はなかったけど。

これこそが理事長が苦笑いするところなのだ。

理事長に誓いをして、俺は今度こそ寮へ向かった。今は授業中で人が1人もいない。

久しぶりに寮の部屋に入って荷物を整理していく。長期間いるつもりがなかったから必要最低限のものしか持っていなかった。後で家に残っている荷物を持ってくるよう父さんにでも頼もう。

寮は生徒会、風紀委員、学年首席以外は基本的に2人部屋だ。俺の同室者はいるにはいるが、いるだけ。交流がなく、全く話さない。彼は食堂派だから買ったご飯を1人で食べる俺とは食卓をともにしないし、俺も彼もあまり自分の部屋から出ない。事務的なこと以外は関わらないのだ。



荷物整理した後、俺にはやるべきことがあった。

電話だ。


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