小説 | ナノ


前に、女の子のいとこと歩いているのを目撃されたことがある。

その時は1日かけて説得して、彼女の脅威の情報収集力でただのいとこであるとわかったのだが、「…いとこでも結婚出来るのよ…。」、と完全に納得したわけではなかった。確かにただのいとこではなく、ちょっと遊んでいた一人の"彼女"でもあったが。

まぁ、そんな束縛の激しい彼女が俺と別の女の子とのキスプリを見てどうなるのかは目に見えている。

家にいるとどうにかして乗り込んで来そうだったので俺は仕方なく寮へ一時避難した訳だ。




「…お前そのうち刺されるぞ。」

俺が説明し終えると宮下はシリアスな顔で言った。

「そのコに刺されそうだったから逃げてきたんだよ。大丈夫。後で電話してー、落ち着いたらまた会いに行く。」

ずっと逃げるつもりはない。彼女は俺のことが本気で好きなわけで俺も好きなわけで、冷静になった時ならわかってもらえる、きっと。信じてる。

「ちなみにお前今何人だ?」「へへっ、9人。」
「……」

バゴッ

「いでっ!」

自信満々に答えた俺の頭を宮下は無言で殴った。 これへこんだわ。痛い。



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