小説 | ナノ


門は何かの端末が入っている学生証をかざすことで自由に開けることが出来る。俺が学生証を門の横にある端末を読み取る機械にかざすと、門はギコォォと音を立てて開いた。

忌まわしき桜香学園に戻って来てしまった。





朝7時くらいにタクシーに乗ったので今はちょうど昼休みで敷地内には生徒がわんさかいた。

しかしその生徒達は俺を見るなり目を見開いて、そわそわと目配せし始めた。

久しぶりのこの避けられ感、異物を見るような目を出来るだけ気にせずに俺はまず荷物を置こうと寮へと向かっていると。

「おっ!桐矢じゃん。久しぶりだな。何だよ、もう帰って来ないかと思ったぞー。」

俺が出くわしたのは俺の担任、宮下京介だ。

襟足の長い黒い髪に黒いシャツ、黄色いネクタイ、じゃらじゃらしたアクセサリー。派手な見た目でホストっぽいが紛れもない英語教師32才だ。

「宮下せんせーだ。俺も出来れば帰って来たくはなかったんだけどね。」

宮下と俺は女好き、という同じ趣味から結構仲が良い。まぁ、宮下は女顔の男もかろうじてイケるらしいけど、俺は無理。



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